レオパルディ | Un bel giorno di tredici

Un bel giorno di tredici

~ある素敵な13日~

イタリアに関することを中心に、
楽しいこと好きなことを書いていきます。

『レオパルディ』

(il giovane favoloso)


監督・脚本:マリオ・マルトーネ


19世紀イタリアの大詩人・ジャコモ・レオパルディの

人生を描いた映画。


幼い頃から恵まれた教育環境の中で、

自らの才能を発揮するジャコモ。

彼は身体に障害があり不遇な人生を送ったとされている。


実は、ジャコモ・レオパルディのことは、よく知りません。

イタリアの偉大な詩人ってことろに惹かれて、

この映画を見ることにしたの。


彼の事を知らないからこそ、

純粋に一人の詩人の人生の物語を観ることが出来た。


映画の後に、

イザベッラ・ラゴネーゼさん(ジャコモ・レオパルディの妹役)の

トークショー&質疑応答があったんだけど、

そこで彼女が


「イタリアでは、 ジャコモ・レオパルディのことを

 学校で勉強するので、誰もが知っている偉大な詩人なんです。」


と語ったように、誰もが知っているからこそ、

この映画を撮るのは難しかったんじゃないかと想像する。


観ているだけで、

レオパルディは本当に苦しい人生を歩んだ人だったんだと

胸が締め付けられる。

その反面、人との巡り合せには恵まれた人生だったように思う。
フィレンツェ、ローマと大都市で生活し、

最期はナポリで彼は人生の旅を終えた。


詩らしいものは、最後のシーンで

朗読される『エニシダ』というものだけだが、

その詩は仏教や自然信仰・アニミズムに

通じる内容だった。

そして、日本語に訳されても

その詩の美しさが伝わってきた。


「映画では詩の全てを伝えることが出来ないので、

 監督は視覚によってレオパルディの詩の世界を表現することに

 成功したと思っている。」


とイザベッラさんも語っていたが、

ヴェスビオ火山の噴火の映像の後、

エニシダの詩が朗読されるので、

自然の脅威、寛大さ、また、自然への畏敬の念を

強く印象付けさせられる。


イタリアの他の詩人よりも日本人に受け入れられやすい

詩人なのではないかと思ったし、

なぜ、そんな彼の作品が日本で全くと言っていいほど

知られていないのかが不思議でしょうがない。


三島由紀夫の『春の雪(豊穣の海の第一巻)』

にもレオパルディの名前が出てくるんだって。

ますます、日本でレオパルディの知名度が

低いのが謎だよね。


日本で出版されている彼の作品は

『カンティ』(名古屋大学出版会)のみのよう。

620ページ、アマゾンで8640円・・・。

もっとなんとかならんのかね。


もっとこの偉大な詩人の事を知りたいし、

彼の詩も読んでみたいと思った。


2015年イタリア映画祭

http://www.asahi.com/italia/2015/