『いつだってやめられる』
(SMETTO QUANDO VOGLIO)
監督・原案・脚本 シドニー・シビリア
たぶん『絶対にやめられてない人たちの映画』
なんだろうなと思って観ることにしたよ(笑)。
予算削減で大学の職を失った生物学の研究者・ピエトロ。
生活に困った彼は合法ドラッグを作って稼ぐことを思いつく。
合法ドラッグ製造の為に、彼が声をかけたのは
化学者、数理経済学者、人類学者、ラテン語の専門家。
才能がありながらも職がなく、
生活に困窮している人たちばかりだった。
若者の失業率が40%を超えるイタリア。
大学を卒業しても職がないという話は有名なだけに、
ユーモアの中にアイロニーを感じずにはいられない。
経済が全てではないけれど、
主人公のピエトロも国の経済状況が良ければ
その才能を合法ドラッグ造りには使わなかっただろう。
日本と一緒でイタリアでも
合法ドラッグ問題は大きいようだね。
(その割に、広場で堂々と
マリファナの匂いがしているような国ですが(苦笑))
重い題材を扱っているのに、
ユーモアに溢れていて、それでもどこか現実味があるの。
重すぎたりコメディコメディしすぎたりせず、
絶妙なバランスで物語が進んでいく。
当初は研究者ならではの真面目な態度から、
どんどん行動が派手になり自信に満ちていく
変貌ぶりも面白かったねぇ。
最後のたたみ掛けるようにオチに流れ込んでいくのも
観ていて本当に心地良かった。
今回の映画祭で一番面白かったんじゃないかな。
2015年イタリア映画祭
http://www.asahi.com/italia/2015/works.html