マルチェッロ・マストロヤンニ 甘い追憶 | Un bel giorno di tredici

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~ある素敵な13日~

イタリアに関することを中心に、
楽しいこと好きなことを書いていきます。

『マルチェッロ・マストロヤンニ 甘い追憶』

(Marcello,una vita dolce)


監督:マリオ・カナーレ

   :アンナローザ・モッリ


世界の恋人、ラテンラヴァーと言われた

イタリアを代表する俳優・マルチェッロ・マストロヤンニ。


この映画は彼が72年の人生を終えた、

10年後の2006年に公開された。

マルチェッロ・マストロヤンニという俳優の人生を追った

ドキュメンタリー作品です。


彼の2人の娘バルバラとキアラをはじめ、

ヴィスコンティやフェリーニなど30人もの映画人たちの証言と

映像によって彼の人となりを明らかにしていく。


Un bel giorno di tredici


本当に誰からも愛された人なんだなぁ。

映画を見終わって、率直にそう思った。

だってインタビューを受けてる全員が
マルチェッロ・マストロヤンニの話をしてる時に、
すごく楽しそうで、愛おしそうな顔をしてるんだもん。

インタビューを受けている撮影監督が、
フェデリコ・フェリーニに

「いま、マルチェッロの話をしてるんだよ。」

と言うと、フェリーニも

「楽しそうだねぇ。」

とニヤリと笑う映像が、全てを物語っているように思う。

本人へのインタビュー映像も沢山あったし、
すごく若い時から晩年の作品まで
貴重な映像と写真が使われている。

女優のクラウディア・カルディナーレの話も好きだったなぁ。

「言ってもいいかしら・・・。」

意味ありげな笑みを浮かべて彼女が語り出すの。

「彼は私に恋してたのよ。
 でも、私は見向きもしなくて。(笑)
 監督に少しは微笑んでやれって言われたわ。」

世界に愛される男でも、振られることもあります(笑)

そういうところがあるから、愛されるんだろうね。

ジンジャーとフレッドの撮影の時は、
家で娘(キアラ・マストロヤンニ)に
タップダンスをして見せてくれたりしたんだって。

バルバラ・マストロヤンニとキアラ・マストロヤンニの
インタビューでは父親としての一面も見えてくる。

キアラ・マストロヤンニの発言で印象的だったのは、

「寂しい時は、古い映画を見ることがあるの。
 でも、姿を見たいって言うより声を聞きたくて。
 だって、特徴的な声をしてるでしょ?」

言われてみれば、確かに声が特徴的だよね。
低くて響くような声じゃないけど、
魅力的な声なんだよね。
喋り方も良いんだろうねぇ。

声といえば、私、この映画で初めて
フェデリコ・デリーニの声を聞きました。
見た目だけで勝手に、
低くて重みのある話し方だと思ってたんだけど、
意外と声が高くて喋り方も若かったから、
すごくビックリした。

もちろんこの映画は、マルチェッロ・マストロヤンニ
の魅力をたっぷりお伝えするものなんだけど、
当時のイタリア映画界の
こぼれ話なんかも散りばめられてて面白かったなぁ。

『甘い生活』が公開された1960年代には、
バルベリーニ広場で迷子になったアメリカ人に

「『甘い生活』はどこですか?」

って尋ねるられるがあったんだって。

映画の中では、高級車がカフェの前に停まっていて、
カフェには知識人やお金持ちが毎晩のように集まり、
夜をにぎわしている。

「確かにカフェはあったけど、
 人なんてチラホラとしかいなかったんだよ。
 映画を見た人は、
 あの生活がその辺にあるもんだと思ってたんだ。
 フェリーニの想像力の賜物とも知らずにね。」

ルイジ・マーニ監督が笑いながら話す。

えぇ!!
私も、当時のローマは本当に
ああいう場所なんだと思ってた!!
日本で言うバブル時代みたいなもんで、
景気が良くて毎晩あんな風に華やいでるものだと思ってた。

驚きの連続の映画だわぁ。

一番好きなのはエンドロール。
ニューシネマパラダイスのラストシーンみたいに、
マルチェッロ・マストロヤンニのいろんなキスシーンが
スライドショーのように流れるんだよね。

なんだか分からないけど、
とても切なくて感動しちゃった。

この映画が終わった時に、
恋愛映画を見た後のような気持ちになったの。
ドキュメンタリー映画なのに、
こんな気持ちになるなんて不思議。

きっと、この映画に出演している人みんなが、
マルチェッロ・マストロヤンニに、
今でも恋しているからなんだろうなぁ。