「日本の将来が不安な時代に子どもをどうやって自立させていくのか?」これは子どもを持つ身として、常に悩まされるテーマではないかと思います。
今の時代でさえ、大人たちは給与もほとんど上がらなくて、ストレスと仕事量だけは増していく日本の耐乏のサラリーマン生活。私は20年ちょっとしか続けられませんでしたが、今の若い人たちは下手をしたら40~50年も働かなければならないかもしれないワケです。
よほどやりたい仕事がある場合を除いて、私の子どもにブラック企業の低年収サラリーマンをおすすめできるはずもありません。かといってエリートの高収入ホワイト企業に勉強や努力をして入りなさいというのも何か違う気がする。
そもそも、私が子どもの頃では、「いっぱい勉強して」、「いい大学に入って」、「いい会社や役所に入って」、「将来も安泰」という神話がまかり通っていましたし、「私もそういう人生を歩むのかな」と一方的に思わされていました。
ただし、私が子どもの頃から、自分の父親も含めて一般のサラリーマンの印象は必ずしも良いものではありませんでした。その理由はとにかく帰りが遅かったからです。
自分の母親なんかは、やっぱり自分の子どもには「よく勉強ができて、いい会社に入って、出世してもらいたい」と思っていたはずです。もちろん、私はそういう優等生タイプではなかったのにもかかわらず。
まだまだ早期退職(アーリーリタイア)も一般的ではなかったし、FIREなんて言葉を聞くすべもなかったでしょう。唯一私が知っていたのは「不労所得」という言葉のみです。
私の場合は厳密にいえば「普通のサラリーマン」から「小規模事業者」もしくは「個人事業主&個人投資家」になったというのが正しい認識だと思います。
いわゆる「不労所得」という言葉の響きだと、全く働かないで入ってくるお金になると思いますが、株式投資はともかく、不動産投資を「不労」かどうかはちょっと意見が分かれるところです。(まったく何もしないで入ってくるような収入はこの世には存在しない)
戦前の大昔の日本ではサラリーマンなんてほとんどいませんでしたし、基本的には小作農がほとんどだったはず。一部で商売人や工芸品を作る人たちもいたと思いますが、基本的には田舎では農民で今でいう個人事業主だったわけです。
サラリーマンはどちらかというと都会でほぼ無償で働かされる「丁稚奉公」と同じ類のものであり、戦後は「丁稚奉公」は禁止されて、そのかわり終身雇用で有償の「滅私奉公」になったわけですね。
サラリーマンの給与生活が苛酷化しているのは、高度経済成長時代のサラリーマン型の「滅私奉公」から貧しかった戦前型の「丁稚奉公」への時代へと逆戻りしつつあるということ。昔にどんどん戻っていってると考えるとすんなり頭に入るのではないでしょうか?
「士農工商」という言葉がありますが、武士も農民も江戸時代は貧乏だったようです。「武士は食わねど高楊枝」っていうぐらいで。実際に儲けていたのは豪農や大商人のごく一部ぐらいだったでしょう。
士=正規職(今の正社員・公務員)
農=非正規職(今の派遣・アルバイト・パート)
工=非正規職(今の派遣・アルバイト・パート)
商=投資家(今の事業主・自営業など)
こう考えると、稼げるのはいつの時代も商人だけというくくりになると思います。なので、自分の子どもにはあまりサラリーマンにはなってもらいたくないなと親としては考えています。
過去記事にも書きましたが、昔の江戸や京都での丁稚奉公というのは、なかなか厳しい生活を強いられていたようです。
長男以外の男の子は都会に奉公に出て、女の子は遊女になる、もしくは売られる。それが当たり前の時代だったわけです。そして田舎から都会に放り出された子どもたちは主(あるじ)に酷使をさせられて過労や病気により、やがては無縁仏に葬られるという話。
衰退する時代で子どもをたくさん産み育てるのは至難の業と言えそうです。世の流れに逆らうようなことをしているのですからね。