中国富裕層が狙う海外不動産 | Passのブログ (情報部屋)

Passのブログ (情報部屋)

不動産投資から株式投資、育児から家事まで、その他 国内・海外の見たこと感じたことをただつらつらと書き連ねるブログです

中国富裕層は震災後・原発後でも日本の不動産を狙っているのでしょうか?そして、移住中国人が日本で住むことが緩和される時代が来るのか?考えさせられるレポートです。

○中国富裕層から注目される日本の不動産(サーチナ)

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0802&f=column_0802_005.shtml

順調に経済成長を続けている中国では、1980年代後半から1990年代初期までの日本で起こったバブル景気を大きく凌ぐ勢いで不動産が高騰している。近年、好景気に浮かれている大勢の中国人達に混じって、何時はじけるかも知れないと言われているこの中国不動産バブルに不安を抱きはじめている中国富裕層の人達の姿も見えてきた。

1.高騰する中国不動産

中国国内では2011年から中国政府が内陸部都市の開発を本格的に開始したこともあり、沿岸部の都市だけでなく中国全土で不動産が高騰している。

中国国内の主要70都市で行った調査では2010年においてマンション価格は月平均で10%も上昇したという報告もある。

これは。数千万円のマンションが次の月には数百万円も高く取引され、1年間で不動産価格は2倍以上にもなるという異常なものだ。

2.複数の不動産を所有する中国富裕層

このような不動産バブルの恩恵を享受しようと投機目的で複数のマンションを所有する富裕層が急激に増加している。当然であるが、購入者は投機目的で購入された2戸目、3戸目のマンションには住まず空室のままとなる。これは、マンションが居住用としての需要があり建設されたものではなく、投機目的で建設されたものであることを示すものである。マンション価格の上昇が頭打ちとなった時点で、供給過剰となっているマンション価格が暴落しバブルがはじけることは想像に難しくない。

3.次々に打ち出される中国政府の抑制策

中国政府はこのような事態に対し、バブルを抑制するための政策を次々に打ち出している。抑制策として、他の先進国が金利を低く抑える中、中国は利上げの継続を行い、都市部において不動産所有者に対して不動産税をかけ不動産所有の負担を増加させた。

また、2戸目の不動産を購入する際、住宅ローン金利を高くし、2戸以上の不動産購入をしづらくもした。このような中国政府の抑制策により不動産価格の高騰もようやく減速の兆しもみられるが、経済成長と共に依然として不動産の価格は上昇を続けている。

4.中国富裕層が興味を示す海外不動産

こんな中、富裕層は以前から海外の不動産にも興味を示している。
彼らは中国での不動産バブル崩壊を恐れ、安全な海外に資産を移すことを真剣に考えている。彼らの中には既に海外不動産の購入や資産を海外に移しだしている人々も多い。

今まで彼らが主に興味を持っていた海外不動産は、カナダ、オーストラリアなどである。

中国人が、カナダやオーストラリアの不動産に興味を示す大きな理由として、これらの国の移民政策にある。移民を受け入れない国で外国人がその国の不動産を所有するのは容易でないからである。

日本でも老後をオーストラリアで過ごすというライフスタイルが流行った時期があったが、中国人の中にも老後は気候の良い安全な街で過ごしたいと考えている人達は少なくない。また、中国政府が自分達に大きな被害が発生するような政策を行ったときには海外への脱出も考えていることは確かだ。香港返還のときに香港からカナダに多くの人達が移り住んだことは記憶に新しい。

よって、移民を受け入れている国の不動産を購入するというメリットは、彼らの将来の生活を安定させるという大きな安心も含まれる。

5.中国富裕層から注目される日本の不動産

ここで、日本の不動産が中国人からどのように見られているかを考えてみたい。

前述の移民政策であるが、日本では原則として移民の受入を行っていない。

外国人が日本で永住権を取得できないわけではないが、日本政府は積極的に外国人の受入を行ってはいない。

よって、中国人を含め外国人が日本の不動産を所有し、日本で生活をするということはかなり困難であると言える。

しかし、カナダ、オーストラリアと比べ中国と日本の距離は近く、生活の慣習についても隣国である中国と日本では似ており、中国人が日本での生活に大きな我慢を強いられることは少ないと考える。

日本政府が中国人へのビザ発給条件を緩和したこともあり、将来的に中日間での訪問に対する制約が少なくなるという期待がある。

これらを総合的に考えると、中国富裕層が日本の不動産の購入に興味を示すのも当然と言えるだろう。

6.中国富裕層向け日本不動産の販売実情

近年、日本の不動産会社は日本の別荘や投機目的の不動産を中国富裕層に販売するべく、様々な方法でアプローチをしているようであるが、残念ながら一部を除いて期待する程の成果はでていない。

ここで、一部としたのは在日中国人を家族や親類に持つ中国人達で、彼らは日本への入国も容易であり不動産購入の手続きも親類を通して行うことができるなど、日本の不動産を購入するにあたって大きな障害がない。

日本の不動産会社が思うように中国人向けの不動産販売の成果を出せない中、別の観点から中国富裕層に向けて日本の不動産を販売しようとしている企業がある。そのアプローチ方法とは。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1.前回まで

前回では、中国富裕層が日本の不動産に興味を持っていること。中国富裕層の需要を察知し、不動産販売会社が中国人向けの不動産販売に力を入れているが期待するほどの成果がでていないことをレポートした。

2.中国人富裕層の求める日本の不動産とは

日本政府は外国人が不動産を購入することに何の制限も行っていない(日本法務省・公安調査局)。たとえ日本に住んでいなくても外国人が日本の不動産を購入し登記することができるのである。そう考えると投機対象として日本の不動産に大きなデメリットはないと言えるだろう。

再度の確認であるが、日本の不動産を購入しようとしている中国富裕層の中で日本での生活を望む移住希望者という潜在需要が非常に大きいと推測される。それは、次のデータからも容易に想像できる。

参考ではあるが、以下のようなデータがある。

中国招商銀行(CMB)とコンサル企業ベイン・アンド・カンパニー(BAIN & COMPANY)の調査報告によると、1億元以上の資産を持つ中国の超富裕層2万人のうち、27%はすでに海外移住したという。また、47%は移住を検討中で、この層から約3.6兆元が海外に投資されているという。

※中国招商銀行(CMB)、コンサル企業ベイン・アンド・カンパニー(BAIN & COMPANY)の調査報告より引用。

よって、移民を希望する中国富裕層にとって移民を受け入れない日本政府の政策は大きな障害である。日本で生活したいと希望する中国富裕層が多い中、日本への移住が保障されない現在の日本政府の政策を見て日本の不動産の購入に躊躇するのは仕方ないことだ。

3.付加価値を付けた中国人富裕層への不動産販売

そこで、中国富裕層に向けて日本の不動産の販売を手掛ける中国人が考えたのは、日本への移住サービスを提供し不動産販売の付加価値にしようという案である。

彼は、中国富裕層の需要を見出し、日本の不動産販売に注目したのは、中国で起業し日本を相手とした多くのビジネスを手掛ける30代の中国人男性である。

既に、製造、飲食、医療、ITの各分野で成功を収めた青年実業家である。

カナダ、ニュージーランド、オーストラリアなどのように投資移民を受け入れビザを発行する制度があるが、日本にも同様の「投資・経営ビザ」が存在することを知らない人も多い。彼は、この「投資・経営ビザ」の取得サービスを日本の不動産を購入しようとしている中国富裕層に提供しようと考えたのだ。

日本での長期滞在ビザの取得、そして将来は永住権の取得ができれば中国人富裕層が日本の不動産の購入を躊躇うことはないと考えたのは正解かも知れない。加えて中国人が日本での永住権を得るということは、日本から世界に活動を広げる可能性を提供できることでもある。

ここでビザの種類について基本的なことを理解しておきたい。

日本政府が外国人に発行するビザを取得するには様々な制約があり外国人が日本で長期滞在することは容易ではないのは一般的に知られている。観光ビザなど短期滞在用のビザは比較的容易に取得することができるが、日本で長期滞在するには、特殊な場合を除き、留学の場合、特別な能力を持ち日本で就労する場合、日本での事業経営を行う場合などに限られるのである。

4.中国富裕層が望む海外移住の困難

彼が目をつけた「投資・経営ビザ」の取得にも例外はなく様々な制限があり、取得する為の資格とビザを更新する為の条件は、彼が予想したほど容易ではなく厳しいものだった。

日本での投資・経営ビザとは日本国内で事業を行う経営者に発行されるものであり、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアなどのように一定以上の資産を有し、一定以上の投資を行えば取得できるような投資ビザではないのである。

日本で「投資・経営ビザ」を取得し更新するには、日本で生活ができるレベルの事業を継続して行うという実績が必要なのである。

5.中国富裕層に向けての不動産販売の今後

中国富裕層に向けた、移住サービス+不動産販売という彼のビジネスの着眼点は良かったが、現在の日本の法律では容易に実現できないことも見えてきた。今後、日本が外国人の受入を増やす方向に舵を切ったときには大きなビジネスチャンスとなるのではないだろうか。

高齢化、人口減少と経済成長への期待が薄い将来の日本、日本政府が本格的なグローバル化に向けて取り組み、裕福な知識人が保有する海外マネーを日本に呼び込む政策を推し進めることは日本全体の活性化につながると私は信じている。その一つとして是非ともチャイナマネーを日本経済の活性化の為に呼び込んでもらいたいものである。

移民サービス+不動産販売という彼のビジネスモデルへのチャレンジは今も続いている。日本の経済効果も期待しながら、今後も彼のチャレンジを追い続けたい。(執筆者:豊田勝大 提供:中国ビジネスヘッドライン)