皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

前回のブログで、船橋市の都市計画(40戸連たんを含む)について一般質問をすると宣言しました。

その後、6月6日に宣言通り、本件について一般質問をいたしましたのでご報告します。

実際の一般質問の録画中継はこちらからご覧いただけます。

 

私の問題意識は、船橋市には「市街化を抑制すべき区域」とされる市街化調整区域の概念(都市計画法第7条)を順守する精神が希薄であること。その結果、11号条例(都市計画法に基づく開発行為等の基準に関する条例)を定めている全国の他の自治体よりも緩い(甘い)基準を設けて、市街化調整区域を開発(宅地化)しやすくしているのではないか。そして、その結果、市街化調整区域における「無秩序な宅地化の進展」という意味でのスプロール化が進んでしまっているのではないか、というものです。緩い基準(要件)については、前回のブログで詳細に記述しておりますため、このブログでは割愛させていただきます。

 

この問題意識から、一般質問では以下の点を質しました。

(1)そうした意図はなんなのか?

(2)どのようなポリシーをもってそうしているのか?

(3)今後のビジョン(11号条例の改廃の検討)は?

 

以下に執行部の答弁を要約します。

 

(1)そうした意図はなんなのか?

11号条例の要件は船橋市だけで決めたものではなく、千葉県の「(旧)既存宅地制度」に基づいて、他の近隣市町村とも調整して決めたということでした。

 

(2)どのようなポリシーをもってそうしているのか?

この点について直接的な答弁はありませんでした。そもそも、千葉県の基準に準じて設定したため、船橋市に特に強いポリシーがあったとは私には思えません。しかし、平成20年度に船橋市は11号条例を改正して立地基準を厳しくしたことは事実です。①道路幅員が6.5m以上あること(ない場合は拡幅整備すること)、②排水能力に支障が無いこと(支障がある場合はちゃんと施設整備をすること)、③農業振興地域ではないこと、④洪水ハザードマップに示された区域ではないこと、⑤保存樹林ではないこと、です。したがって、執行部としては、船橋市の11号条例は、近隣市と比較して、その基準が緩い、または、宅地化しやすいことはないという認識でした。

 

(3)今後のビジョン(11号条例の改廃の検討)は?

執行部からは、「宅地化の抑制等を含めた土地利用の方法の検討にあたっては、今後の都市計画に関する基礎調査や国勢調査、将来人口推計等の調査を注視しつつ、慎重に判断する必要がある」という答弁でした。つまり、11号条例の改廃について結論は出ておらず、状況を見極めつつ、検討を継続するという意味だと理解しました。

 

だったら市街化調整区域っていったい何のためにあるのだ?そもそも船橋市には必要ないじゃないか?などという疑念が残ります。しかし、現行制度では、市街化調整区域を市街化区域に編入するためには、市の都市計画審議会を経て、その後、県の都市計画審議会を経て、ようやく編入できるという大変な作業と時間を要します(海老川上流地区もこのプロセスを経てようやく市街化調整区域から市街化区域に編入されたのです)。つまり、一度、市街化調整区域に指定した土地を市街化区域にすることは容易なことではないため、現行通り(の土地利用形態)にしておいて、11号条例の特例(40戸連たん)により、必要とされている場所だけ徐々に宅地化していく方法を取っているということです。私はこれを「虫食い的(にじみ出し的)開発」だと認識しているのですが、船橋市の認識はそうではないようです。

 

一般質問におけるやりとりから私が導き出した結論は以下の通りです。

船橋市においては、約10年後の令和15年まで人口増加が続き、その後も人口は微減であり、20年後も現在の人口水準(約64万人レベル)が維持される推計となっています。つまり、本市には今でも人口が流入しており、市街化区域だけでは受け入れられず、市街化調整区域の宅地化ニーズが高いのです。したがって、今、11号条例に手を付けて基準を厳しくしてしまうと、流入人口の受皿が狭められてしまうのです。

 

▲船橋市人口推計調査報告書(令和元年5月)より抜粋

 

また、上述した平成20年度における11号条例改正の際に、道路幅員や排水能力の要件を厳しくしたことにより、市街化調整区域を宅地化する場合には、開発業者が道路を広く整備したり、排水施設を整備したりする必要があるので、無秩序な宅地化にはなっていない(スプロール化ではない)、むしろ整然とした住宅地になっているという理論です。本市においては、市街化区域の方が狭くてくねくねした道路や歩道が多いかもしれません(大昔からの生活道や農道を舗装してできた道路も多いため)。

 

以上のことから、本市には現行の11号条例がまだ必要であるという結論に至りました。

 
2022年7月4日 船橋市議会議員 石川りょう