皆さん、こんにちは。
千葉県議会議員(船橋市選挙区)の石川りょうです。
今日のブログは、6月16日に開かれた千葉県議会6月定例会の予算委員会における石川りょうの質疑のまとめ最終回。テーマは「医療・介護現場における暴力・ハラスメント対策について」です。
今次補正予算の中には、新規事業として、在宅医療従事者等安全確保対策が3,800万円の予算額で組まれています。事業の概要として、在宅医療従事者の安全を確保し、安心して働き続けることができる体制を構築するため、在宅医療現場における暴力・ハラスメントに対する相談窓口の設置や防犯機器等の導入における財政支援、安全確保対策の周知・啓発を実施するとされています。
具体的に実施する内容は以下の図の通りとなっています。
【在宅医療従事者等安全確保対策事業の概要】
在宅医療従事者に対する苦情や暴言、暴力行為といったハラスメントの事例は多数発生しており、報道等でも多く取り上げられています。その防止と安全確保は社会の要請と言っても過言ではないと認識していますので、本事業はとても大切な事業だと考えていますし、反対するものではまったくありません。
しかし同時に、本事業の概要を見て私が感じたことは、「在宅医療分野にはこのように手厚い支援ができるけど、同様の仕事である在宅介護分野にはこのように手厚い支援はあるのか?」ということでした。
セクハラやパワハラなど、同様の事例は訪問介護現場でも多数発生しており、こちらも社会問題と言っても過言ではないと認識しています。訪問看護と訪問介護はいずれも、自宅にいながら医療や日常生活の面でサポートを受けられるサービスであり、看護師と介護士といった職種の違いはありますが、ともに利用者の自宅を訪問して実施するサービスとして類似する面があるわけです。しかしながら、一方に対して、つまり、在宅医療従事者に対して今次実施されるような充実した安全対策が、他方に対して、つまり、訪問介護従事者に対して実施されているということを私は聞いたことがありません。在宅医療従事者等と同様、訪問介護従事者の安全を確保し、安心して働き続けることができる体制も構築することが重要だと考えます。
そこで私からは以下のように質問をしました。
【石川りょうの質問1】
今次補正予算の新規事業である在宅医療従事者等安全確保対策事業においては、在宅医療従事者に対する患者や患者の家族等による暴力・ハラスメント等について、県内の在宅医療機関等から相談を受けるための窓口を設置し、平日日中(9時~19時)に電話・メール・Zoom等で受け付けることができるとされていますが、本事業と同様の相談センターは訪問介護分野には設置されているのか。
【千葉県担当課の回答1】
県では、訪問介護分野を含む介護事業所の管理者等が、カスタマーハラスメントの対応に苦慮した際、弁護士の助言を受けられる法律相談窓口を本年1月に設置したが、介護職員が直接相談できる窓口は設置していない。
【石川りょうの質問2】
1月に弁護士の助言を受けられる法律相談窓口を設置いただいたことはとてもありがたいことだと認識はしておりますが、この窓口は、あくまで介護事業所の管理者等(マネジメントする立場にある方のみ)がカスタマーハラスメントの対応にあたり、弁護士の助言を受けられる月2回の法律相談窓口であって、在宅医療従事者が今回から直接受けられるようになるという平日の日中にいつでも相談できる窓口ではないわけです。訪問介護分野も同様の問題を抱えているため、同様の相談窓口を設置するべきと考えるがどうか。
【千葉県担当課の答弁2】
●カスタマーハラスメントから介護職員を守るためには、まずは、介護事業者が組織的に対策に取り組むことが重要であると考えており、県では、事業者指導などの機会を捉え、マニュアルや対応の事例集を紹介するなど、対策が進むよう支援している。
●訪問介護員を含む介護職員が直接相談できる窓口については、現在設置している法律相談窓口の利用状況や事業者のニーズなどを踏まえた上で検討していく。
【石川りょうの質問3】
次に、今次在宅医療従事者等安全確保対策事業では、県内の訪問看護ステーションに対し、安全確保対策に資する防犯機器の購入等にかかる経費の一部を補助することになっています。具体的には、セキュリティ確保に必要な通話記録装置や緊急呼び出し付き防犯ブザーの購入、警備会社によるセキュリティサービスの導入経費等の一部を補助するということです。手厚いですね。同様の支援事業は訪問介護分野にはあるのか。
【千葉県担当課の答弁3】
訪問介護事業所における防犯機器などの導入に対する補助は行っていない。
【石川りょうの質問4】
この差はなにかと感じてしまいますが、訪問介護分野にも同様の支援を講じるべきと考えるがどうか。
【千葉県担当課の答弁4】
●介護職員が安心して働き続けられる環境を整備することは、介護人材の確保・定着の観点からも重要と考えている。
●今後、訪問介護事業所を対象に、カスタマーハラスメント対策に関する課題やニーズなどについて、アンケートや聞き取りにより情報収集を行っていく。
【石川りょうの質問5】
次に、今次在宅医療従事者等安全確保対策事業では、在宅医療従事者への暴力・ハラスメントを抑制するため、在宅医療関係機関の事業所内等に掲示するポスターや訪問先の在宅医療患者・家族に配布するためのリーフレットを作成して普及・啓発を図るようですが、本事業と同様の普及啓発活動を訪問介護分野でも実施しているのか。
【千葉県担当課の答弁5】
●介護サービスの利用者や家族等に、介護保険制度の目的やサービスの範囲に関して正しく理解していただくことは、カスタマーハラスメントの防止に有効と考えている。
●そのため県では、県民だより等を通じて、ハラスメント防止の広報・啓発を行っている。
【石川りょうの質問6】
在宅医療従事者への暴力・ハラスメント対策の普及啓発活動には専用のポスターやリーフレットが準備されるのに、介護分野における普及啓発活動には県民だより等を通じてだけというのはなぜ?と疑問に思います。そこでお尋ねしますが、在宅医療従事者に対するものと同様の普及啓発事業を訪問介護分野でも実施するべきと考えるがどうか。
【千葉県担当課の答弁6】
●介護現場におけるカスタマーハラスメント防止のための広報・啓発については、他の自治体の事例等も参考にしながら、引き続き、効果的な取組を検討していく。
千葉県議会本会議場にて、以上のようなやりとりを行いました。
実際の録画映像はこちらからご覧いただけます。
在宅医療も訪問介護もともに「訪問型」であり、ハラスメント被害も共通の課題です。今次在宅医療従事者等安全確保対策事業で実施されるレベルと同様のことは訪問介護分野でも是非実施いただきたいと思うものです。現状では両分野における差は何なのか?と思わざるを得ません。
介護従事者が足りない、足りないと言っている割に冷たい対応だと感じます。こういった対応が続くと、介護人材はますます離れてしまうと思います。千葉県担当課の答弁で、何度も「情報収集する」「検討する」とおっしゃってくださっていましたが、本当に情報集や調査・研究、そして実施の検討をお願いしたいと思っています。今後も進捗をしっかりと確認していこうと思います。
2025年6月23日 千葉県議会議員(船橋市選挙区) 石川りょう