皆さん、こんにちは。
船橋市議会議員の石川りょうです。
 
令和2年船橋市議会第1回臨時会において、昨日、議案質疑に登壇いたしました。
前回のブログにてお伝えした通り、今臨時会では、先日船橋市が発表した「新型コロナウイルス感染症対策緊急パッケージ第3弾」の内容について審議が行われています。様々な施策が提案された今回のパッケージですが、私のところに寄せられた多くのご意見は、市立学校の給食調理場に導入される予定のスポットクーラーについてだったので、このことについて質疑いたしましたのでご報告いたします。
 
 
1.給食調理場の現状について
 
船橋市立学校(小学校、中学校、特別支援学校)における今年の夏休みは、新型コロナウイルス感染症による影響による臨時休校の遅れを取り戻すために、8月1日から17日までという大変短い期間となってしまいました。本来夏休みであったはずの8月18日から31日までの期間には、給食を提供することに決まりました。お察しのように、この期間はとてもとても暑いことが予想されます。調理場の労働環境はどうなのか?と尋ねました。
 
船橋市教育委員会(市教委)からは、
近年、夏季の高温化が進み、特に夏季の給食調理業務については、給食調理従事者の皆さんに大変なご苦労をおかけしている。教育委員や職場巡視をした産業医からも、熱中症対策の必要性について意見をいただいている。
という回答がありました。
 
つまり、学校における給食調理場の労働環境がかなり過酷であったことは市教委も認識していたのです。
 
 
2.空調(クーラー)を給食調理場に設置してこなかった理由
 
教育委員や産業医からも指摘をされていて、市教委としても現場の過酷な職場環境を認識していながら、なぜこれまでにクーラーを導入してこなかったのかを尋ねたところ、
 
市教委からは、
これまでも空調の整備を検討してきたが、調理室全体を冷やすためには、一校当たり5千万円ほどの費用がかかり、早急に実現可能な額ではないことがわかった。そのような中、今年度はスポットクーラーをすでに導入している自治体の調査と、市内の何校かで試験的にスポットクーラーをレンタルしてその効果を検証する予定でいたため、今回の国からの補助を好機ととらえて予算を計上した。
という回答がありました。
 
 
3.スポットクーラーの効果
 
現在の給食調理場の労働環境は、調理員の皆さんの健康、ひいては命にも関わるかもしれない大変な状況です。スポットクーラーを導入するといっても、本当に効果があるのか?調理員さんの健康を守れるのか?効果検証はしたのか?と尋ねたところ、
 
市教委からは、
先日、船橋小学校の調理場で、調理従事者が勤務しているところで実際にスポットクーラーを運転し、体験してもらった。外気温マイナス12度の冷風が排出されるので、調理従事者の方々からは、「涼しい」、「是非設置して欲しい」と好評だった。また、キャスター付きで移動可能なものを購入要諦なので、調理業務の状況に応じれ、特に暑さが厳しい回転釜や食器洗浄機付近に設置することができるので、現状より環境を改善出来るものと考えている。
との回答がありました。
 
 
4.各校一律3台の導入の理由
 
給食調理場の面積や調理員の人数は各校により異なります。調理員が最も少ない学校で3人。多い学校では10人以上いらっしゃいます。それなのになぜ各校一律3台なのか?面積や従事者の人数に応じて導入する台数も変わるはずではないか?と尋ねたところ。
 
市教委からは、
給食調理場の電源を用いてスポットクーラーを運転するため、電気の容量に不足が生じない中で、最大限設置可能な台数を考えて、100Vのものを2台、200Vのものを1台設置することにした。
との回答がありました。
 
つまり、電気の容量が足りないのです。
 
 
5.電源の増設について
 
電気の容量の問題であれば、電源の増設は考えなかったのですか?と尋ねたところ、
 
市教委からは、
電源工事には、1校当たり200~500万円かけることで可能ではあるが、今回の国からの補助の対象とはならないため、今回は増設しないことにした。
との回答がありました。
 
この回答にはいささか疑問を感じます。
国から補助が付かないと事業を実施しないというのはあまりに受け身の姿勢です。
労働環境の改善は喫緊の課題です。
しかも、従事者の健康や命に係わる問題です。
市の単独予算を使ってでも早急に対応するべき課題であると私は考えます。
 
 
6.給食調理場の今後の労働環境改善について
 
文部科学省の発している「学校給食衛生管理の基準」によると、「調理場は、湿度は80%以下、温度は25度以下に保つことが望ましい」とされています。船橋市市立学校における給食調理場の現状は、この基準から大きくかけ離れた過酷な状況になっていることが明らかになりました。今回の各学校一律3台のスポットクーラーの導入をもって、給食調理場の労働環境改善は終わりだと、完璧に整ったと考えているのですか?と尋ねたところ、
 
市教委からは、
今回、3台のスポットクーラーを設置することでその効果を検証し、給食調理場の環境改善については今後も引き続き検討していく。現場で働く栄養士、調理従事者の声に耳を傾けながら、少しでも環境改善につながる方策を教育委員会全体で考えていく。
という回答がありました。
 
 
【結論】
 
1校一律3台の導入という点については納得がいかない点はありますが、給食調理業務に携わってくださっている方々の健康に関することなので、スポットクーラーを導入しないよりは導入するべきだと考えて、この議案には賛成するつもりです。
 
しかし、今後はしっかりと効果検証を行い、各校の実態に合わせた台数の導入や、必要ならば電源の増設工事、そして、調理場全体の空調の設備を検討して、職場環境の改善を図っていくべきだと考えます。
 
ちなみに、スポットクーラーの納入時期は、入札から3週間を見込んでいるようであり、議決を経たのちに速やかに契約事務を行えるよう、しっかりと準備をしていくということでした。
 
全国の自治体でも、調理場へのスポットクーラーを導入する動きが出始めています。
確保が大変になってしまうことも予想されます。
船橋市教育委員会には、まずは、8月後半の給食提供時期に間に合うように全力を尽くしていただきたいと思います。
 
2020年6月27日 船橋市議会議員 石川りょう