皆さん、こんにちは。
千葉県議会議員(船橋市選出)の石川りょうです。
12月22日、船橋市内で進む「ななしょくプロジェクト」の現場を視察させていただきました。訪問したのは、利用者を送り出す側であるデイサービス虹の家さんと、受け入れ側であるセブン‐イレブン船橋高根台店さんです。
この取り組みは、介護サービスを利用する方が地域の店舗で、短時間の“ちょっとした仕事”を体験し、対価(謝礼等)も受け取りながら社会参加する仕組みです。単なるボランティアではなく、「地域の一員として役割を担う」ことに大きな価値があります。
表情が変わる。
「役割」が人を元気にする
現場で印象的だったのは、参加される方々の表情でした。作業は短時間で区切りやすく、無理のない範囲で、店舗の皆さんが声かけや仕事の切り出し方を工夫していました(かご拭きやスタンプ押しなど)。参加者が安心して取り組めるよう、スタッフ全員で支える雰囲気がありました。
「自分にもできることがある」「役に立てた」――この実感は、生きがいに直結します。外出機会や活動量が増えることは、心身の健康維持という意味でも重要で、私はこの取り組みが介護予防の観点からも大きな可能性を持つと感じました。
成功のカギは、送り出し側の“見立て”と“伴走”
虹の家さんでは、参加者の体調や得意・不得意を踏まえた丁寧な見立てがありました。どの業務なら安全に、本人の負担が少なく、達成感を得られるか。送り出し側のこうした準備があるからこそ、受け入れ側の店舗も安心して迎え入れられます。
介護の現場は当然「安全第一」です。一方で、安全を理由に社会参加の機会が失われてしまうと、意欲や活動量が落ち、結果として心身の状態が悪化することもあります。だからこそ、安全を担保しながら社会参加につなぐ“橋渡し”が、実はこれからの介護・福祉にとって重要だと改めて感じました。
受け入れ側(企業・店舗)にもメリットがある
セブン‐イレブン船橋高根台店さんにとっても、これは“善意での受け入れ”だけではありません。短時間でも現場が助かる場面があり、地域の方々とのつながりが深まります。店舗が地域の中で、より「居場所」として機能する側面もあると感じました。
高齢化が進む中で、介護・福祉の課題を福祉の中だけで完結させるのは難しくなっています。地域の企業や商店が関わることで、支える人・支えられる人という二分法ではなく、誰もが役割を持てる地域に近づいていく。今回の視察は、そのリアルな実装例でした。
国の方針にも合致――「社会参加」を介護予防の柱に
この「ななしょく」の発想は、厚生労働省が近年強く打ち出している方向性――
介護予防・生活支援の充実、社会参加の促進、地域で支え合う仕組みづくりと、かなり整合的です。
「介護が必要になってから支える」だけでなく、地域の中でつながり続け、役割を持ち続けられるようにする。そのこと自体が予防であり、本人の尊厳を守ることにもつながります。私は、ななしょくはまさにその流れに沿った取り組みだと考えています。
次の目標:船橋市の次期計画に“明文化”して、継続性を持たせる
一方で、こうした取り組みを広げ、続けていくためには、現場の熱意だけに頼るのではなく、行政が「仕組み」として支える必要があると思います。
そこで私としては、船橋市の次期「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」に、ななしょくのような取り組みを社会参加(役割づくり)を通じた介護予防・生活支援の具体策として明文化することを、一つの目標にしたいと考えています。
計画に位置づけることで、次のことが進めやすくなります。
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安全と責任分担の整理(事故時対応、保険、見守り、情報共有ルール)
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コーディネート機能の確保(本人の見立て、企業との調整、業務の切り出し)
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効果の見える化(参加継続率、外出頻度、孤立感、フレイル指標等)
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受け入れ企業を増やすための環境整備(雛形づくり、研修、好事例共有)
特に、コーディネート役は“いれば回る”というものではなく、一定のノウハウが必要です。船橋で回っている実践を丁寧に整理し、再現可能な形にすることが、次の段階だと思います。
船橋から千葉へ。
共生社会を「絵」ではなく「実装」に
今回の視察は、「共生社会」という言葉を、現場の具体に落とし込むヒントに満ちていました。
介護が必要になっても、地域とつながり続ける。
支援されるだけでなく、役割がある。
そのための仕組みを、行政・事業者・企業・地域が一緒につくっていく。
船橋で始まっているこの挑戦を、千葉県全体の学びにもつなげられるよう、県議会議員として、現場の声を伺いながら政策として後押ししていければと考えています。
最後に、今回視察にご協力いただいた虹の家の皆さま、セブン‐イレブン船橋高根台店の皆さま、関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。
2025年12月24日 千葉県議会議員(船橋市選出) 石川りょう
