皆さん、こんにちは。
船橋市議会議員の石川りょうです。
 
マスコミでも報道されている通り、今月から「ふるさと納税」制度が変わりました。
寄付を受けた自治体による返礼品に以下2つの条件が課されることになりました。
①返礼品の返礼割合が3割以下であること
②返礼品が地場産品であること
 
これにより、大阪府泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町、そして、佐賀県みやき町の4自治体が制度から外れることになりました。
 
総務省のこの決定を受けて、船橋市議会でも、5月31日に「船橋市市税条例の一部を改正する条例」を全会一致で可決しました。つまり、船橋市民の方が、上記4自治体に寄付した場合でも、船橋市では特例控除が認められないことになりました。
 
ここで船橋市民の皆様に、ふるさと納税による市民税控除により、船橋市がどれほどの税収を逸しているかをお伝えさせていただきます。簡単に言いますと、船橋市民の皆様がふるさと納税制度を使って、他の自治体に寄付していることにより、船橋市に本来入ってくるはずのお金がどれほど失われているかということです(それをまとめた表が上の写真になります)。
 
2015年度税制改正によってふるさと納税制度の拡充が行われましたので、その年から見て行きましょう。
①を「歳入(ふるさと納税受け入れ額)」として記載します。当然ですが、船橋市にも、全国からふるさと納税による寄付が入ってきています。その返礼品として、船橋市の名産である梨やニンジンの加工品、ビール(サッポロビール工場)、海産物(あさりやスズキ)などがあります。
②を「歳出(ふるさと納税推進事業費)」として記載します。推進事業費とは、船橋市が梨やビールなどの返礼品を寄付者へ送るために、業者から返礼品を購入する代金です。
③を「税控除(ふるさと納税による市民税控除額)」として記載します。船橋市民の方がふるさと納税として他の自治体へ寄付した結果控除された市民税の額です。
 
【2015年度】
①29,846,000円 ②10,336,000円 ③64,539,000円
*2015年度だけ解説すると、①船橋市はふるさと納税による寄付として、全国から29,846,000円入ってきました。しかし、②寄付者に送るための返礼品の購入に10,336,000円使いました。そして、③船橋市民が他の自治体にふるさと納税制度を使って寄付した結果の(市民税の)控除額が64,539,000円だったということです。これを計算式に表すと、
①29,846,000円ー②10,336,000円ー③64,539,000円=ー45,029,000円
つまり、船橋市は2015年度に、本来入ってくるべき市民税である45,029,000円を逸したことになります。
 
この逸した額が、
【2016年度】 274,364,000円
【2017年度】 593,897,000円
【2018年度】 890,113,000円 *令和元年5月20日収入分まで
 
つまり、船橋市はすでに、年間9億円近くもの税収を失っていることになるのです。
ふるさと納税制度は、そもそも、応援したい自治体に寄付をするための制度であり、人口の多い都市部に偏りがちな税収を、地方に分散させるための制度です。したがって、都市部の税収が減ることは予想されていました。船橋市も人口の多い都市部ですので、当然覚悟はしていたのですが・・・。
 
ちなみに、雑誌のAERAが、ふるさと納税”損している自治体ランキング”なるものを特集しています。これを見ると、上位は軒並み大都市であり、船橋市も上位にランクインしています。
 
それでも、毎年9億円近くがなくなってしまうということは、行財政改革を真剣に進めようとしている船橋市にとってはかなり痛いと言わざるを得ません。
 
もちろん、船橋市民の皆様に、ふるさと納税制度を活用しないでくださいなどと言うことはできません。
しかし、このような状況も生まれているんですよ、ということは知っておいていただければ幸いです。
 
2019年6月4日 船橋市議会 石川りょう