マンションの日常的な管理は、管理員さんや清掃員さん、各種保守業務の業者によって遂行されていますが、管理会社のフロント担当者の目が行き届いているかどうかで、彼らの仕事ぶりも変わってくるものです。管理組合や理事会にしてみれば、「フロント担当者の能力=管理会社のすべて」というように見えてしまうかもしれません。
ときどき、「いい管理会社を紹介してください」といってくる理事さんがいます。けれども、私の経験上では「いい管理会社」も「悪い管理会社」もありません。大切なのは「いいフロント担当者」か「悪いフロント担当者」かという点に尽きると思います。
これはどんな業態でも同様だと思いますが、どこの会社にもエース級の社員もいれば、出来の悪い社員も存在します。ですから、たとえ平均点の高い管理会社に委託したとしても、出来の悪いフロント担当者が来てしまえば、残念ながら質の高い管理を期待することはできません。このように、マンション管理とは、いってみれば非常に「属人的」なサービスなのです。
したがって、よいマンション管理を実現できるかどうかは、管理会社自体の問題というよりも、まずはどんなフロント担当者が派遣されてくるかにかかっているといえます。マンション管理はフロント担当者の質で左右されるのです。
あるマンションで、過去にこんな話がありました。そのマンションに派遣されていたフロント担当者はコミュニケーション能力が高く、普段から理事とも良好な関係を築いていました。あるとき、フロント担当者が管理組合に対して「マンション住民による一斉清掃をやりましょう」と提案してきました。日頃の関係性もよかったため、理事たちは提案を快く受け入れ、年1回、マンション住民が集まって、落ち葉を拾ったり、マンション周辺のU字溝清掃をすることが年中行事として定着しました。
ところが、ある年に就任した新理事が管理委託契約書を読んでみたところ、U字溝清掃は管理会社の業務だと明記されていました。つまり、管理会社に業務委託し、その分の管理委託費も払っていたにもかかわらず、マンション住民が清掃作業をやらされていたというわけです。
事実を知った管理組合がさっそく管理会社に問いただすと、フロント担当者が管理委託契約書の内容をきちんと把握していなかったことが判明し、管理組合から大目玉を食らう羽目になったそうです。
そのフロント担当者は人当たりが良くて、人間的には信頼されるよい人物だったのかもしれませんが、結局、仕事の面では業務内容を把握する能力が低く、単なる理事会ご機嫌取りの「質の悪いフロント担当者」だったわけです。
マンション管理の良し悪しは、管理組合の性質そのもので決まります。つまり、質の良いマンション管理を実現させるためには、自分たちが意識の高い管理組合になることが重要なのです。