管理組合と管理会社との関係において、しっかりと理解しておいていただきたいことがあります。それは、管理組合と管理会社は「利益相反」の関係にあるという点です。利益相反とは、簡単にいうと「どちらかが儲かれば、どちらかが損をする」という構図のことです。管理組合と管理会社との関係性でいえば、管理会社が儲かれば管理組合が損をして、管理組合が得をすれば管理会社が損をする、ということになります。
私がよく話す事例として、車を新車で購入すると、ディーラーの営業マンは車検がある3年目の手前で、営業にやってきます。車検の見積と合わせて、新車のパンフレットと新車の見積書を持ってきます。そこで上得意客は、新車の魅力をたっぷりと話しをすると買い替えてくれるお客様。普通のお客さんは車検を出してくれる人。使えない客は民間の車検場に持っていってしまいます。これが利益相反です。
管理会社は企業ですから、当然ながら自社の利益を優先させます。たとえば「なんとなくうちのマンションは管理委託費が高い気がする」とか「管理業務の質や内容が、管理委託費に見合っていないのではないか」と感じている管理組合があるとします。幸い、管理会社のフロント担当者とはよい関係性を築けているので、理事会からフロント担当者に、管理委託費の値下げや、管理業務の質と内容の改善を頼んでみることにしますが、いつになっても劇的な解決策が提示されないということもよく耳にします。
実はそれも当然のことで、利益相反の関係にある両者において、「管理組合の得になる」ということは、「管理会社が何かしらの損をする」ことになります。管理委託費の値下げは、すなわち自社の利益の減少につながりますし、管理業務の質と内容の改善は、すなわち人件費や経費の増加につながります。ですから、管理会社が自社の損になることを積極的にするわけがないのです。
「そうはいっても、管理会社のフロント担当者だって人の子だから、何かこちらの利益になるようなことを提案してくれるはずだ」と淡い期待を抱いてしまうのが日本人の特性ですが、自社の利益よりも顧客の利益を最優先に考えるような管理会社は、残念ながら見たことがありません。あくまでも、管理組合と管理会社は「利益相反」の関係にあるということを忘れないでください。