「あなた、責任取れるのですか」という殺し文句 | マンション管理組合コンサルタント ㈱CIP須藤桂一の日記

マンション管理組合コンサルタント ㈱CIP須藤桂一の日記

破綻する長期修繕計画の改善、マンション管理委託品質向上や大規模修繕工事のムダやムラを適正化する管理組合コンサルタントをしています。

長年、大手改修施工会社や管理会社に勤務し、業界の裏も表も知る建築士のN氏は「コンサルタントを選んだ時点でレールが敷かれている」と指摘します。コンサルタントの一連の業務の中で、特に大きな鍵を握っているのが「施工業者の選定補助」です。業者の選定こそが運命の別れ道。談合する側は、そこに全神経を集中しているといっても過言ではありません。

 

コンサルタントの多くは、大規模修繕の元請け施工会社を選ぶに当たり、信頼性、瑕疵の保証能力を理由に「年商30億円以上」「営業実績20年以上」「資本金1億円以上」といった条件をつけて公募しよう、と管理組合に提案します。一見、もっともらしいのですが、公募段階で施工会社は数社に絞られ、談合グループが形成されると言われています。

 

N氏は実体験をもとに管理組合への見積書の「偽装」に触れます。「数社が応募し、本命はA社だったとします。A社が工事の内訳のひな型を作ります。そのマンションの修繕積立金の総額、ぎりぎりを狙って工事の内訳を決める。「公正、公平という裏で、本命のA社の担当が、ひな型に沿って自社の見積書を作成します。その見積書を

談合各社に配信し、数量と単価を少しづつ変えてA社よりも少し高い金額で、そして各社のフォーマットで見積提出をする、その仕切はA社とコンサルタントで行います」

 

知らぬは住民ばなりなり。見積を受け取って管理組合は、応募した施工業者を集めて選考会を開きます。本命が最安値を提示し、エース級のプレゼンテーターが立て板に水で解説。管理組合の役員は「なるほど、そうか。ここに任せればいいだろう」と引き込まれ、本命を選んでしまう・・・。実に巧妙に高額の工事へと誘導されているのです。

 

もっとも、管理組合にも感の鋭い理事長や修繕担当の役員がいます。「見積額が横並びの僅差で変だ」「別の工事会社からも見積を取ろう」と反対意見も出てくるでしょう。「そのときは、トドメの一言があります。反対者に『あなた、責任取れるのですか』と誰かが言うのです。コンサルタントでも管理組合でも修繕委員でもいい。億単位の大規模修繕工事を、みんなで議論して施工業者を選んできた。それに反対する個人が責任とれるのか、と刀を突きつける。もう一言、『ここがどこよりも安いです』と念を押します。本当は仕組まれた見積なのですが、見た目は本命が一番安い。反対の声は瞬く間にしぼみます」N氏は、その内幕を教えてくれました。

 

こうして大規模修繕工事が行われ、高額のリベートがコンサルタントに渡ります。管理会社が気脈の通じた設計事務所を設計監理に使う場合も、工事業者からリベートを吸い上げるケースが後を断ちません。管理会社は赤字覚悟で日常の管理業務を受託し、大規模修繕工事で積立金を吐き出させて儲けるとも言われています。