最近は「無足場工法」という、ビルの窓拭きに使うブランコを利用して、塗装や防水工事を実施する業者が目立ってきています。
足場が不要な分、足場工事費は安上がりなのですが、その代わりに、バルコニー内で実施するタイルなどの下地補修工事、洗浄工事、シート防水工事、側溝のウレタン防水工事、塗装工事、シーリング工事、金属工事などを行わず、たったの1回塗りでしか塗装工事を実施しない、「ワンコート」という独特の工法で施工します。
マンションの形状によって異なりますが、一般的なバルコニーのあるマンションでは、この工法はあまり有効ではないと私は考えます。ただ、一部のマンションでは有効な場合があります。
実際、シーアイピーが担当しているマンションでも、無足場の「ブランコ工法」で工事を実施しているところがあります。
無足場のブランコ工法で塗装しているところは、バルコニースラブ(床板)の見付け(先端の高さ20cm程度の小口部分)のみ実施してもらい、バルコニー内部に関しては、隣とのパーティションに丁番などを取りつけ、隣の家のバルコニーへ簡単に行けるような工事をして、在来工法で工事を実施しています。つまり、建物の形状や工事の概要によって実施の向き・不向きがありますので、専門家を交えて比較検討することが必要になります。
バルコニー内で実施する工事は、洗浄(1~2工程)、下地補修(3~8工程)、塗装(4~6工程)、防水(5~10工程)、シーリング(3~5工程)などの工事項目があります。それぞれの工事のたびにブランコで各戸のバルコニーに入ることを考えると、足場代で節約したコストよりも、効率の上がらない工事のコストのほうが上回る可能性があることを抑えておきましょう。
また、ワンコートで実施する業者があまりないことも、ワンコートがそれほどもてはやされていないことの証明だと思います。工事費が安いということに加え、無足場工法の発案者が本を出版したりして、かなり知られてきていますが、前述のように、建物の形状によって向いているマンションとそうでないマンションがあることを覚えておきましょう。
また、無足場工法は安上がりかもしれませんが、“安かろう悪かろう”になるケースがあるうえ、長期的に利用するとかえって割高になるケースもありますので、慎重に検討する必要があります。