1回目の大規模修繕工事の場合、まず新築から10年目くらいに必ず管理会社から何かしらの報告があります。
実際、このくらいの時期のどこかで建物の調査・診断をやるケースをよく見かけます。具体的には、管理組合で居住者にアンケートを取り、共用部分の不具合などについて意見を聞くほか、専門家による建物診断を行い、目視調査、打検調査、機械調査などで建物の劣化状況や設備の状況を調査します。
この段階で、大規模修繕工事を受注したい工事業者に建物調査・診断を依頼してしまうと、「位置について、ヨーイ」となってしまうことは明らかで、あとは「ドン」というだけでスタートを切ってしまうことがありますので要注意です。
たとえば、風邪をひいた場面を想定してみましょう。近所の内科医にかかろうとしますが、いくつか選択肢があります。一番近所にある内科のA先生は、注射でも点滴でもなんでもOKです。隣町にある内科のB先生は、薬をたくさん出してくれます。さらに遠くにある内科のC先生は、注射も点滴もすぐにはしないし、薬もなかなか出してくれません。
風邪をひいたのがお父さんだとしましょう。明日大切な会議があり、なんとしても出社しなければならないお父さんは、なんでも希望の処方をしてくれるA先生を頼って、注射と点滴を打ってもらい、大量の薬を出してもらいます。高い診療代や薬代を取られ、体にも多少負担はかかりましたが、おかげでなんとか翌日の会議に出られるまでに回復しました。
次に、風邪をひいたのが小学生の子どもだとしましょう。できるだけ注射や薬に頼らず、自分の力で治るようにしたいところです。そこで、きちんと症状を見極め、必要最低限の薬を処方してくれるC先生のところへ連れていくことにしました。
このように、そのときの状況次第でかかる病院や先生を考えるのと同じように、建物調査・診断も誰に頼むかで、その処方の仕方が大きく違うのです。