実際に大規模修繕工事を実施する際には、しっかりと要件を定義して、競争原理を徹底的に働かせ、シビアに見積りを取っていくべきです。そうすることで、工事費は2割、3割と下がっていきます。時代や経済状況によっても異なるとは思いますが、最終的に現場で施工を担当する末端の業者さんの単価や人件費には、案外変動がないように感じていますので、工事費は現状の相場をベースに考えればいいでしょう。
では、その相場はどのくらいかというと、おおむね床面積1㎡当たり15,000円を目安にするといいと思います。
たとえば、マンションの平均的な専有面積を70㎡とした場合、70㎡×15,000円=105万円となります。そのマンションの戸数が100戸なら、105万円×100戸=1億500万円となります。これが簡単な超概算の算出方法です。
ただし、専有面積が同じ70㎡でも、総戸数10戸のマンションと100戸のマンションとでは工事費が違ってきます。15,000円/㎡というのはあくまでも平均値ですので、たとえばこれが10,000円/㎡になったり、20,000円/㎡になったりすることもあります。また、実際には設計監理料や予備費など、直接の工事費以外にもさまざまな予算が必要になります。
この15,000円/㎡という金額ですが、長期修繕計画では不測の事態にも対応できるように、2~3割増しで見ることが一般的です。そこで、1戸当たりの専有面積がよっぽど大きくない限りは、工事費は1戸当たり120万~130万円程度で考えておけばいいでしょう。それが、1戸当たり150万円を超えているような場合は、工事費の設定が高すぎると見たほうがいいと思います。
そして、大規模修繕工事の実施時期までに、その金額になるように修繕積立金を積み立てていくわけです。
(※上記には、給排水管やエレベータ、機械式駐車場の更新といった設備工事は含まれていません。いわゆる建築部分の原状回復工事で、塗装や防水、シーリングを中心とした工事部分のみで、設備更新やグレードアップ工事などは考慮していません)