先に「必要な工事をタイムリーに実施する」といいましたが、ではどういうときが工事のタイムリーな時期にあたるのかというと、ひとつは建物の機能・性能レベルが著しく落ちたときです。
建物の機能・性能レベルが時間の経過とともにどう推移していくかを表したものです。建物の機能・性能は二次曲線を描いて劣化していきます。
マンションの資産価値を落とさないためには、原状回復に加えて、「改良」も施す方法を取ることが臨まれますが、この劣化の二次曲線のカーブが急になるあたりが、修繕と改良のタイミングといえます。たとえば、「外壁の汚れが気になるようになった」「床のシートのはがれが目立つ」「インターホンのカメラの性能が落ちた」「消防設備の誤作動が増えた」など、目に見えて改良工事の必要性を感じるようになったときに、必要な修繕・改良工事を施すといいでしょう。
例に挙げたような具体的な不具合は、居住者からクレームとして理事会に報告が増えてきますし、理事の皆さんとしても自分のマンションのことなので手に取るようにわかると思います。大規模修繕工事を考える際に「必要な工事をタイムリーに実施する」ということは、たとえば「外壁の汚れが気になるようになった」という部分だと思います。自分の家が汚れてきて、もう目を覆いたくなるという気分になったときが、大規模修繕工事を行うタイミングのバロメーターです。
最近のマンションではタイル張りが一般的で、汚れは目立たなくなってきています。ただ、一部外構の壁や床など汚れが激しい部分があるマンションも見かけます。そうしたところは一部分だけ塗装工事などを実施するか、あるいは市販の高圧洗浄機を管理組合で購入し、理事や区分所有者が清掃したり、管理会社に特別清掃をお願いしてみてはいかがでしょうか。建物全体が汚れているわけでもないのに大規模修繕工事を考える、などという不経済なことはしないでください。
また、マンションが時代の水準に遅れてきたと感じたときも、工事を行うタイミングにあたります。
時代が進むごとに、マンションの機能・性能の水準はどんどん向上していきます。古いマンションに比べると、新しいマンションは防犯性能や耐震性能、ITに関するインフラ、設備機器などが格段によくなっていて、両者の機能・性能の格差は大きくなっているものです。そこで、経年と時代の水準に応じて、タイムリーに改良工事を行うわけです。
やるべき改良工事はたくさんありますが、どのマンションにおいても必ず出てくるテーマとして、設備機器の老朽化にともなう最新機器への交換、防犯性能の向上、省エネ対策、高齢化対策などが挙げられます。
これらの工事は、マンションの資産価値を高めるためというよりは、資産価値を下げないために必ず行わなければならない対策だと考えましょう。