管理会社はだいたい築10年を迎えるころか、前回の大規模修繕工事から10年が経過する前後から、大規模修繕工事の必要性や緊急性をアピールしはじめます。話によると、管理会社では大規模修繕工事を受注するとボーナスが増えるという仕組みになっていたり、管理対象のマンションから10年目の物件をピックアップして、大規模修繕工事の受注に向けた社内会議を繰り返したりしているそうです。
どうして管理会社がそんなに大規模修繕工事に執着するかといえば、それが管理会社にとって大事な収入源であるからにほかなりません。
管理会社の大きな収入源は、マンションからの管理委託費と修繕費の二本柱になっています。企業にとって収益を最大化することは非常に重要なことですが、管理委託費は固定費なので、売上や利益を伸ばすためには管理物件を増やすしか方法がありません。
一方の修繕費については、管理会社のフロント担当者にボーナス増加などのインセンティブ(動機づけ)を与えれば、本人は大規模修繕工事だけでなく、小規模・中規模な工事の受注にも熱心に取り組みます。さらに、相手は管理組合という素人ですから、どんな提案でも簡単に通せて、工事の受注もスムーズに進めることができます。いくらでも自分たちの思い通りに売上を上げ、利益を増やすことができるわけです。
こうした発想は管理会社に限らず、多くのコンサルタント(設計監理者)や工事業者も同様だといえます。通常、長期修繕計画は今後30年間の見通しで作成されます。大規模修繕工事を10年周期で行うとすると、工事は3回必要になります。15年周期だと2回で済みます。20年周期だと1.5回となります。つまり、大規模修繕工事の周期を5年間延長すると、全体コストが3割下がるのです。1戸当たりの月額修繕積立金が3万円必要なのか? 2万円で済むのか? この差は大きいはずです。