『一番になる人』
(メールマガジン「人の心に灯をともす」より)
つんく♂さんの心に響く言葉より…
「シャ乱Q」というバンドでプロデビューしましたが、CDはまったく売れず、
デビュー二年で早くも引退の危機にさらされていたのです。
あるとき、一つの詞が浮かんできました。
のちにミリオンセラーとなった「シングルベッド」がそれです。
有線放送で一番になる。
全国の有線放送で、「シングルベッド」が流れる。
CDができあがったとき、そんな妄想を頭に描きました。
それからほぼ毎日のように、全国の有線放送会社に、「シャ乱Q」のメンバー全員で、
電話をかけまくったのです。
まず、メンバーの一人がレコード会社の社員の役になって、電話をかけます。
「○○レコードのAです。新人の『シャ乱Q』という
バンドの新曲が先日、発売されたのですが、
メンバーの者がぜひあいさつさせていただきたいと
申しておりますので、代わりますね」
「どぉも─、始めましてぇ─、福山雅治と同じレコード会社の
新人『シャ乱Q』のボーカルの
つんくで─す。といっても知らないすよねぇ─。
実はミスチルと同期なんですよ─。
えっ、ミスチルは好き?マジで趣味がいいっすねぇ…」
こんなふうに軽い調子で切り出して心をゆるませ、
世間話をしながら、有線放送の担当者に
僕たちの名前を地道に売り込んでいったのです。
当時、プロデビューしたとはいえ、大した仕事もなかったので、
時間だけはたくさんありました。
朝の11時頃から7時間くらいぶっ続けで、
まるで営業マンのように、電話をかけまくる日々が
続きました。
その思いが、有線放送の担当者たちに通じたのでしょうか。
やがて、コンビニやスーパーで、喫茶店やレストランで、
僕たちの歌が流れる回数がしだいに
増えていきました。
そして、気がついたときには、百万枚以上のCDが売れていたのです。
僕は運よく、何度も何度も「一番になる」ことができました。
でもそれは、僕に才能があったからではありません。
正確にいえば、僕自身、才能がなかったからこそ、
「一番になる」ことができたのです。
才能がなかったからこそ、有線放送会社に電話営業する
労を惜しむこともありませんでした。
凡人だったからこそ、「一番になる人」と自分との違いを分析し、
売れるための方法を研究する
ことに力を注ぐことができました。
誰もが一番になる可能性を秘めています。
『一番になる人』サンマーク文庫
つんく♂さんは、「妄想を抱くことから、ほんとうの人生は始まる。
いや、もっといえば、妄想を抱かないかぎり、大きな仕事は成しえない」と言う。
妄想とは、辞書によると、根拠なくあれこれ想像すること。
どんなに細かく情報を分析し、世にある指標を解析したとしても、
明日何が起こるかわかる人はいない。
たとえ、1分先のことであっても、誰も予想はできない。
それが分かるなら、株も為替も先物も、大金持ち続出だ。
つまり、未来のことは全てが妄想の世界だということが言える。
一番になる、という妄想をいだかなければ、一番にはなれない。
ただし、大事なことは、その妄想を抱いたら、それを現実に落とし込み、
地道な努力をすぐさま開始することだ。
妄想が妄想のままでは、一歩も先に進まない。
成功している人と自分の違いを分析し、
研究すること、これが成功への最大の近道だ。
妄想を現実化するのに、奇手(きしゅ)や、奇想天外な方法などない。
「才能がなかったからこそ、私は一番になれた」、と人に話している自分を妄想し、
そこに向かって地道な努力を重ねたい。