借りぐらしのアリエッティ | にゃ~・しねま・ぱらだいす

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ドコにもダレにも媚を売らずに、劇場・DVDなどで鑑賞した映画の勝手な私評を。

借りぐらしのアリエッティ [DVD]/出演者不明


【監督】米林宏昌
【主演(声)】志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、三浦友和、樹木希林
【オフィシャルサイト】http://www.karigurashi.jp/index.html

宮崎パヤオ(ワザとですw)企画・原作のジブリ最新作。今回は監督に作画上がりの米林氏を抜擢。
不肖の息子wと並び、ジブリ第2世代の育成を目的とした学校的要素がヒシヒシ。
確かに美術は素晴らしいのだが、絵作りや脚本にはパンチ不足。マァ、本はパヤオの責任だけどw

持病である心臓病の手術を控えた12歳の少年翔は、大叔母の古い屋敷へ療養にやってきた。
離婚後唯一の肉親である母親は、仕事柄海外赴任することが多く、面倒が見られないためだった。

広い庭と深い森に囲まれた古家での優しい大叔母と人クセある使用人・ハルとの3人暮らしは
静かな日々になる筈だったが、その家には小さな同居人たちがいたのだった。

『人間に見つかることなく、彼らのモノを借りて暮らす』小人達・アリエッティ一家との出逢いは、
翔の人生や考え方を変えていく-。

ジブリの最大の問題は、巨匠・宮崎駿の後継者不足であることは明らか。
巷の評価も『千と千尋』をピークに、前作『ポニョ』では楽曲(と大橋のぞみちゃん)の方が
大きくフィーチャーされる始末。そもそも未曾有の大震災発生後、あの作品が地上波で
放送されることは二度とないであろう。

マイペース(傍若無人)な本人がその危機を感じているかはともかく、会社としても
鈴木Pは相当焦っているらしく、『ゲド戦記』では嫌がる長男を担ぎ出したものの酷評、
その反省からか今回は実力派の秘蔵っ子をデビューさせる作戦に出た。
これなら長男には難色を示したパパもニッコリかと思いきや、観客はそうはいかなかった。

そもそも2時間を越える長編が多いジブリ作品の中では短編の部類に入る1時間半。
その中で語るには、物語の要素が余り過ぎる。病気の少年と小人の少女の交流が
行われる合間もなく、共闘するという急ぎ足の展開を余儀なくされてしまう。
必然的に見ている方は、ジブリお得意の行間ならぬ絵間で見せる感情表現を期待してしまうが、
そこがあまりにも過不足。『人間に見られてはいけない』筈の小人達が、彼の前でイキイキと
活動することに違和感を感じざるを得ないのである。

…かといって現状で2時間引っ張れる要素はないので、ゲスト的に出てくるスピラーの存在や
家族の過去やそれまでの背景をしっかり描くことで、物語や人間との遭遇に驚きや深みが
出てくる結果になったかもしれない。

辛口な評価になったが(いつもそうだけどw)、美術などはいつも以上に素晴らしい。
丁寧に描かれたファンタジーと憧憬を同居させる絵作りは、美しい世界観を構築している。
アニメーション芸術として、それだけでも1時間半見る価値は確かにある程。

しかし興行のためとはいえ、人気俳優に声優をやらせるのはいい加減やめたらどうかなァ。
ハルなんて、声だけ聞いていてもロックンローラー・樹木希林にしか見えないよ(-_-;)


【評価】
★★☆☆☆