ソーシャル・ネットワーク | にゃ~・しねま・ぱらだいす

にゃ~・しねま・ぱらだいす

ドコにもダレにも媚を売らずに、劇場・DVDなどで鑑賞した映画の勝手な私評を。

ソーシャル・ネットワーク 【デラックス・コレクターズ・エディション】(2枚組) [DVD]/ジェシー・アイゼンバーグ,アンドリュー・ガーフィールド,ジャスティン・ティンバーレイク


【監督】デビット・フィンチャー
【主演】ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク
【オフィシャルサイト】http://bd-dvd.sonypictures.jp/thesocialnetwork/

世界最大のSNSとなった『Facebook』の誕生ヒストリーを鬼才フィンチャーが映像化。
持ち味のギラついた映像は控えめで腰を落ち着けた演出と、ジェシー・アイゼンバーグの怪演が光る。
ただオフィシャルではなく、あくまでフィクションと『Facebook』側は説明しているらしい。
ま、現実はそれ程右肩上がりばかりではないし、人間もそれ程酷いヤツばかりでもない、ということか。

2003年、ハーバード大学のPCオタク・マークは恋人と子口論の末、別れてしまった腹いせに、
Blogに悪口を書き殴り、同時にハーバードのサーバーをハッキングして女子学生の写真を集め、
女子学生格付けサイト『フェイスマッシュ』を立ち上げてしまう。
サイトは2時間で2万2000アクセスを記録するが、半年の保護観察処分を受ける結果となる。

この優れたプログラミング能力に目を付けたボート部のエリート学生・ウィンクルボス兄弟達は、
ハーバード大生専用のSNS「ハーバード・コネクション」の制作を依頼、マークは受諾する。

マークはこのコンセプトを改良・親友であるエドゥアルド・サベリンの出資協力も受けて、
2004年初頭に「ザ・フェイスブック」が誕生させる。このサイトは瞬く間に広がりをみせ、
ウィンクルボス兄弟達はアイデア盗用の疑いを確信、訴訟の動きを見せ始める。

マークはNapsterの創始者・ショーン・パーカーとも接触。更なる投資を受けて、
『Facebook』は西海岸に続いて、欧州にも進出。世界規模の拡大へと繋がっていく。
しかしこの頃、出資者・エドゥアルドとマークの間で考え方の相違が起こるようになっていく-。

SNSといえば日本では『Gree』と『mixi』が有名だが、欧米では断然Facebook。
ケータイゲーム会社になってしまったGreeや沈滞ムード漂うmixiに愛想を付かした日本人も、
徐々に流れつつあるようだ。かくいうこの自分も随分前にアカウントを取っているものの、
特殊なインターフェイスと実名というハードルに食指が動かず、ほとんど活動していない。
そのためか『Facebookのスゴさ』というのを恥ずかしながら、今一つ実感できていない、というのが
正直なトコロだったりする。どっちかというとTwitterの方が全然使い勝手いい感じ。

デビット・フィンチャーというとMTV仕込みのトリッキーでギラついた映像作りが持ち味の監督。
その作風がミステリーやサスペンスの分野などには新機軸として好評を博したものの、
ドキュメンタリー(Facebook側は否定しているけど)タッチの本作などの作りの場合、
果たしてその作風がマッチするのか、少々疑問だった。結果から言えば問題ナシ。
天才は奇をてらわずにBASICに撮ろうと思えば容易くこなしてしまうのね、流石。
そういった意味で『フィンチャーらしさ』は皆無だが、培われた高い映像技術は、双子の合成など
随所にVFXを忍ばせている。

オスカーにもノミネートされたジェシー・アイゼンバーグは、早口で変質的なマークを怪演。
『天才でも変人でもある』彼の人間像を見事に演じきっているが、果たして本人がこうなのかは不明。
ま、IT企業のTOPはカネの亡者かコミュニケーション能力が欠如した変わり者、というのが、
経験則からくる自分の中での定説wなので、こんな人物でもフシギではない。
というかたぶん、リアルでこんな人物なのだろう。

フィンチャー+昨年の各賞を総なめしたことでハードルが高くなったのは確かだが、
現在と過去が交錯する流れやエドゥアルド側に偏った作りであることなど、全体が見えにくい点は
気にならないでもない。ましたや無関係な業界でもないので、気になる点もなくはない。
それでも、こういった一握りの天才とそれに群がる利権やカネが、人や社会を変えてしまうのだ、という
怖さは、充分に堪能することができた。だからIT業界の人間って、すぐ心病んじゃうんだよな。

IT業界の人は必須。それ以外に自分を見つめ直したい人にも是非。

【評価】
★★☆☆☆