ソルト | にゃ~・しねま・ぱらだいす

にゃ~・しねま・ぱらだいす

ドコにもダレにも媚を売らずに、劇場・DVDなどで鑑賞した映画の勝手な私評を。

ソルト デラックス・ディレクターズ・コレクション [DVD]/アンジェリーナ・ジョリー,リーヴ・シュレイバー,キウェテル・イジョフォー

【監督】フィリップ・ノイス
【主演】
アンジェリーナ・ジョリー
【オフィシャルサイト】http://bd-dvd.sonypictures.jp/salt/

当初トム・クルーズ主演で検討されていた企画を性別変更、アンジー主演で実現。
MI的残り香が漂う中クールに立ち回る姿は、流石トゥームレイダーという印象だが、
いかんせん年齢を重ね過ぎた感は否めず、そこに美学を感じられることは少ない。
彼女のギャラで予算を使い切ったのか、他キャストもパッとしないしなァ。

かつて北朝鮮に囚われた経験を持つ・CIAの女スパイ、イヴリン・ソルトは、
命を救ってくれた博物学者である夫と結婚し、平穏な日々を送っていた。

しかしある日、ロシアからの密告者オルロフの尋問を任された彼女は、
『米副大統領の弔問に訪れるロシア大統領を暗殺するスパイが潜り込んでいる』
『その名はソルト』という衝撃情報をCIAにもたらす。
CIAは必死に弁解するソルトの身を拘束ものの、彼女は追撃隊を撃退し建物を脱出。
逃亡生活へと入っていく。
そして副大統領の葬儀が行われる当日、すぐ横には変装した彼女の姿があった-。

誤解を受けた主人公が逃亡生活送る中で真相を究明していく-というプロットは、
真新しいものではなく、むしろ手垢が付いている程やり尽くされた感がある。
寡黙な女主人公・Wスパイ・国家規模の陰謀…など、何も今更、演技派に覚醒した
アンジーでなくても…と言いたくなる一昔前のアクション活劇という印象。
逆に彼女をキャスティングできなければお蔵入りであったであろう、という程度の企画。

要人暗殺、国家危機、報復核攻撃など、描く世界観は無駄にデカイ。
その割にはたった1人のスパイに潜入されたり、チームがあっさり全滅させられたりと
妙にセキュリティが甘く現実感が乏しい。緻密にリアリティを追求していかないと
娯楽作品とはいえ一笑に付されてしまう難しさが、今のフィクションにはある。
SFでない現実世界をバックボーンにするなら、脚本や美術に現実味が欲しい。

そんな残念な制作陣の頼みの綱はアンジー。
名前で集客できる数少ないハリウッド女優は、ララ・クロフト張りの往年の冴えを見せるが、
如何せん重ねた年齢は隠せず。アップの表情や動きの切れ味に制裁を欠く。
前作『チェンジリング』でついに演技派に覚醒、アクション女優は卒業か、と寂しく思っていた
ファンには朗報だったかもしれないが、果たして満足させる内容だったか、というと疑問。
個人的には、もう年齢的にもキャリア的にも無理にアクションモノに出演する必要はないと思う。

全体的に様々なジャンルのファンを裏切ったような、そんな中途半端で残念な仕上がり。

【評価】
★★☆☆☆