シャッター アイランド | にゃ~・しねま・ぱらだいす

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ドコにもダレにも媚を売らずに、劇場・DVDなどで鑑賞した映画の勝手な私評を。

シャッター アイランド [DVD]/レオナルド・ディカプリオ,マーク・ラファロ,ベン・キングズレー

【監督】マーティン・スコセッシ
【主演】レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ、ベン・キングスレー
【オフィシャルサイト】http://www.s-island.jp/

スコセッシ&ディカプリオという黄金コンビなら駄作である筈がない、と信じた映画ファンは多い筈。
しかし駄作とまでは呼べないものの、期待を裏切る結果になってしまったという感は否めない。
スコセッシらしさが出たのが意味深なフリと、2時間強という長尺だけだったというのは、残念だった。

1954年9月。
ボストンの沖合いに浮かぶ精神を煩った犯罪者を収容する病院島・シャッターアイランド。
連邦保安官のテディは、相棒のチャックと共に女性患者の失踪事件の調査で、この島を訪れた。
3人の実子を溺死させた罪で収容されたレイチェルが、密室となった病室から消えてしまったのだ。
捜査に協力的ではない医院長、姿をくらましている担当医、やたら威圧する看守長など、
不審な人物が現れては消える中、テディ自身がこの事件を引き受けた別の目的まで発覚する-。

ミステリーに分類されてはいるが、結末まで見てもスッキリしない。
解釈はできるが、『本当にそんなオチでいいの?』とこちらが心配しなくなる程のお粗末さ。
道中、散々前フリしたり思わせぶりなシーンをインサートしたりして、『もっと深い』的な暗示をしつつ、
その実そのまんま…という延々2時間以上も引っ張られたのは何なのだろう、と失った時間の尊さを
思いたくなる脱力的な展開が待っていた。
勘の良い方なら、舞台だけでストーリーを妄想できると思うのだが、おそらく間違っていないw

確かに、スコセッシらしさは散見できる。
落ち着いた色調で統一された絵作り、台詞や細やかな仕掛けで展開を想像させる手腕など、
彼らしい安定さと計算された不安定さは健在。惜しむらくは作品が持っているポテンシャルが
彼の能力に追いつかずに余してしまったこと。スコセッシがやるべき作品ではなかったということだ。

このレベルの話なら2時間弱に削ぎ落とす事は充分可能だろうし、充分な内容である。
鑑賞後の後味の悪さも、その程度にコンパクトに纏めてもらえれば享受できる分もあるであろう。
演技派として歩み始めたディカプリオも、ハードボイルドタッチ一辺倒という匂いがしてきたし、
他ジャンルやアクの強い役柄をこなしていかないと、名前で客が呼べるようにはならなくなるだろう。

脚本・演出・俳優と、全てにおいてまったく新しさのない作品に成り下がってしまったのは、
スコセッシ&ディカプリオという黄金コンビが錆付いてしまったようで、今後が心配でもある。


【評価】
★☆☆☆☆