フライトプラン | にゃ~・しねま・ぱらだいす

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ドコにもダレにも媚を売らずに、劇場・DVDなどで鑑賞した映画の勝手な私評を。


【原題】FLIGHTPLAN

【監督】ロベルト・シュヴェンケ

【主演】ジョディ・フォスター、ピーター・サースガード

【オフィシャルサイト】http://www.movies.co.jp/flight-p/


上映前から各所において著しく評判の悪かった本作品。

プライベートでも父親不明のナゾの子供を持つ母親であるジョディ・フォスターが、

娘を愛し過ぎるサイコ女を怪演。才色兼備のオスカー女優の面影は今何処。


自殺した夫の亡骸を乗せ、航空機設計士カイルと娘のジュリアを乗せた

400名収容の最新鋭ジェット旅客機は、ベルリンを飛び立った。

突然の悲しみに打ちひしがれる彼女の唯一の救いは6歳の娘だけであった。


疲れからまどろんだ眠りから覚めると、隣で休んでいたはずのジュリアがいなくなっている。

機内を捜索し乗客やフライトアテンダントに行方を聞いて回るも、手掛かりは一切なく、

空港からは搭乗記録さえないという情報が寄せられる。彼女の姿を見た者もまったくいない。


一人狂乱するカイルを次第に覚めた視線で見つめるようになるスタッフ、搭乗客。

地上1万メートルの密室で、娘・ジュリアは何処へ消えたのか-。


そもそもこの作品の企画段階では男性を主人公として描いていたらしいのだが、

脚本の子供への愛に打たれたジョディが、自分が演じることを条件に書き変えさせたとか。

道理で妙に男性的な行動力と逞しさ…だけなら良いのだが、電波飛ばしまくる女性要素が

加わるから見ててイタイ。同性でも感情移入し同感できる方は極少数なのではないだろうか。


まずは陳腐な脚本の問題。

序盤で母親の娘に対する描き方が甘いので、失踪後のパニック状態との整合性が取れていない。

自分の子供のためなら、機内の電源を落とそうが車をブッ壊そうが正当化されるのか?え!?

夫の死の問題の掘り下げがないので、機内における事件の説得力がない。

大義名分とか組織的なバックボーンがないと、ソコまでするリアリティが感じられない。

まさか今時?っていうぐらい直球ストレートで、途中からバレバレだし。


そして大女優サマの問題。

かつては名門大卒の才色兼備ともてはやされたジョディ・フォスターも、プライベートの奇行が

影響したのかまったくその栄光も色褪せ、完全に『過去のヒト』になってしまった印象。

『タクシー・ドライバー』や『羊たちの沈黙』の中で一際輝いていた名演は何処へ、と思うほどの

モノ悲しさ。しかも今回演じる『娘を愛する母親』というコンセプトより、『サイコオバサン』が

妙に似合ってしまうところが、更に哀愁に拍車を駆ける。

『ロング・エンゲージメント』の脇役での名演は流石、健在!と思ったのになァ。


前評判通りの結果に妙に満足しつつも、こんな映画に大金と大セットを惜しげもなく投入できる

ハリウッドという地が、相も変わらず映画の墓場であることを思い、ちと哀しくなったりした。

最近見た中では、5本指に入る『とほほ』作。



【評価】☆☆☆☆☆