【原題】memoirs of a Geisha
【監督】ロブ・マーシャル
【主演】チャン・ツィイー、渡辺謙、ミシェール・ヨー、役所広司、コン・リー
【オフィシャルサイト】http://www.movies.co.jp/sayuri/
アジアンビューティー・チャン・ツィイーが何故か日本人芸者に扮し、
日本の京都と思しき花街を舞台に、全編英語でまくし立てる摩訶不思議な作品。
昭和初期。貧しい漁村で生まれたChiyoは、姉共々花街に売られてしまう。
幼少の頃から端正な顔立ちに恵まれた彼女は、女廊に売られた姉とは別に
置屋で下女として働くこととなる。
逃亡を企てるものの失敗し落胆する彼女の前に、やさしい声をかけてくれた紳士がいた。
彼の面影を求めて芸者道を突き進む彼女に、女社会の妬み・嫉妬が襲い掛かるが、
持ち前の美貌と吸い込まれるような青い瞳を武器に、SAYURIという源氏名を貰った彼女は
いつしか街一番の芸者となっていく-。
中国人のチャン・ツィイーが日本人を演じたことにより、反日感情の高まりを危惧した
中国政府が上映を禁止した曰くつきの本作。政治問題に安易に介入する気はないが、
日本の外貨でどれくらい自国の国民や財政が潤っているのか理解しているのかね、果たして。
かねてからハリウッドが描く日本というのはどれもこれも怪しい曲解をしたものばかりで、
日本人といえばちょんまげかメガネをかけたビジネスマン、失敗すればハラキリか土下座、
嬉しければカネをばら撒き富士山を見ながらゲイシャ遊びをする、といったアンプのブッ壊れた
ステレオタイプなものばかりだった。
かろうじて良作といえば、古くは『ブラックレイン』(これも大阪がブレードランナーみたいな
黒社会になっていたけれど)、新しくは『ラストサムライ』(ちょんまげの貧しい農村で英語かよ)
ぐらいだろうか。
そういった意味では日本人のキャスト・スタッフが多く入り、日本通のスピルバーグも
プロデュースに名を連ねていることもあってか、部分部分で不可思議なトコロもあるものの、
概ね良好。変なスーパー歌舞伎のような踊りは何とも筆舌にし難いものがあるが。
チャン・ツィイーの魅力が前面に出ているかと言えばさにあらず。
渡辺謙、ミシェール・ヨー、桃井かおり、コン・リー、子役の寿々花ちゃんの脇を固める芸達者に
持っていかれた格好で、その辺りは『ゲイシャ』という雅で独特の世界に合わなかったのかもしれない。
余程シャンプーのCMの方が輝いてみえたりするのは、私だけでしょうかね。
【評価】★★☆☆☆