敬愛するデル・トロ版の”ピノッキオ”です。
本家ディズニーが作り直したり実写版が
登場するなど今世紀に至って何故か多く
作られましたが、最後の最後にとてつも
ない物が登場しました。
かなり前から企画は立ち上がってましたが
ストップモーションに拘ったせいで、資金
不足から中々スタートが切れません。しかし
NETFLIX参入のお陰で完成に漕ぎつけた経緯
なのかな?
デル・トロがディズニーに最大の経緯を表し
つつも独特の世界観と造形でダークファンタジー
の極みと言える程の”ピノッキオ”を世に放ち
ました。
ピノッキオは出来損ないの作りかけの様な状態、
ゼペットも優しいおじいさんというよりは頑固
そうな風貌に変化しています。
コオロギに至ってはゴキブリじゃねぇか?
と思えるほど昆虫のままでした。
狐と猫は登場しませんが、サーカスの団長が
底意地の悪い典型の役を担います。
見てのお楽しみとしか言い様が無いのですが、
ストーリーが秀逸です。此処迄も厳しく残酷
に、そして甘美に溢れる流れはデル・トロじゃ
ないと生み出せない大きな世界観でした。
最初は木偶人形みたいなピノッキオが気持ち
悪かったのですが、段々と”良い子”になって
行く過程で感情移入が進み、最後には涙腺が
決壊致しました。
少数の小屋で上映されましたが、機会があれば
まずは銀幕で観て下さい。完全に映画です。
良い意味で期待を凌駕され、圧倒されます。
そして、配信で日本語版も見ましたが雰囲気
を大きく損なわずとても良い上がりでした。
※原語版の吹替えには相当な役者が起用されてます。
物心が付いた頃の子供が観れば生涯の記憶
に消える事なく永遠に刷り込まれるでしょう。
誰もが経験のある、”あの1本”と成る程に
人間と人間の持つ根幹のテーマ、そして
生と死がしっかりと描かれている傑作です。
ギレルモ・デル・トロに脱帽!