未成年裁判を全部見終えて | Sound@Cinema

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映画の音響技術評価などをプロ目線で、車系もたまにw
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じっくり見ようと思いましたが、結局は2日間で

一気見してしまいました(笑)

 

前述の通り、シム判事役のキム・ヘスの目力に

引き込まれたのが大きかったのですが、私的に

最大の立役者はカン判事役のイ・ソンミンです。

 

 

 

 

昨今の韓国映画やドラマで露出の多い人物で、

今や50代の俳優の代表格の一人でしょう。

 

私がすぐに反応したのは”恫喝する上司”という

いわば旧世代の型が今作の中に反映され、韓国

社会においてはまだまだどこにでも居る様な

典型的な人物を”善”として配置した点でした。

 

日本においてはハラスメントに対し、非常に

風当たりが強くなってしまい、誰しもが自分の

行為に自身が持てなくなると共に、訴訟を含め

社会制裁の対象になるという昨今の状況から

大半の人が及び腰になり、カン判事の在り方に

一瞬「ドキッ」としてしまうほどに私は反応して

しまいました。

 

最終的には物語上とても広い許容を示すカン判事

に対し涙無しで無理な程の最高の山場が設けられ

ていますが、そこに至る迄、如何に彼をピークに

持っていくかという演出の中で、”恫喝”がとても

効いているのは確かです。

 

簡単に言えば血管がブチ切れる程の怒りで周囲を

抑止し、不快とも思える反面そこに無類の配慮と

優しが携わっている訳で

 

「細かい事は良いんだ、俺に任せとけ!」

 

親分肌を振りかざす人物であったという事です。

 

まぁまぁ良くある構図ではあるんですが、

日本だったら小日向文世さんみたいな人が登場し

優しく丁寧に諭すでしょう。しかし韓国では

こういった人がまだ正義であり、シンボッリク

に置きたい土壌があるんだろうなと察します。

 

 

 

 

対し、ネチネチ嫌味系の配役かと思ったナ判事役の

イ・ジョンウン。邪魔をしたのが彼女のキャリアです。

優しいお母さん役や家政婦役、苦労人役などが多いので、

染み出る様な意地悪感が今一つでした。

それは”パラサイト”もそうですが、”光さがして”という

2年程前にキム・ヘスと共演した映画の印象が強すぎて

どうにもこうにもこれが最高の阻害要因です、、、

確かに芝居は上手いんです。台詞を喋らせばシム判事

を圧する事は出来ましたが、無言で対峙した時に

彼女の見開いた真ん丸の目が、底意地の悪さよりも

人の好いおばさんの目に見えてしまってキム・ヘス

の上役としてはもう一歩の感じてしまいます。

 

まあおそらくは、それをも凌駕するほどに作り込んで

来たキム・ヘスが凄かったんだと思います。

 

などなど、同じ50代として中堅処の役者の在り方に

この作品を大人側からの目線として彼らに着目して

みました。

 

ひと昔前なら日本にもこういった猟奇的殺人に

真っ向から挑む刑事さんみたいな映画やドラマ

で中堅の役者がとても活躍していたのに、最近

はまったくと言って程無くなってしまったのが

とても残念な今日この頃です。