バイス | Sound@Cinema

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))) Cinema Sound Works シャチョーの日々 (((
映画の音響技術評価などをプロ目線で、車系もたまにw
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”マネーショート”の印象が私的に非常に悪かった

ので観るのを躊躇ったアダム・マッケイの”バイス”。

 

”ドント・ルック・アップ”を観て、どうやら少しは

着いていけそうな?気がして観ることにしました。

 

 

 

 

W・ブッシュ政権下で副大統領を務めた

ディック・チェイニーの半生を描いており、

どこまで本当か?不明ですが、かなり

踏み込みイラク戦争勃発の事実などを

交え、ブラックコメディ感満載で近代の

アメリカ史を抉っています。

 

まずは彼の評価無しでは語れないでしょう。

クリスチャン・ベイルが20kgも増量し、また

無茶なことをやっています(汗)

 

映画の中のチェイニーは悪の権化の様な

表情と語り口なんですが、私の記憶の中

のチェイニーはもっと小ズルい様な感じの

男だった印象があります。

 

作品はかなりテクニカルです。

 

通常会話のやりとり中に心象を表す様な

別カットを挿入させたり、わざわざ雑に音

をぶった切ったり、微妙な雰囲気を醸し出せ

そうな事は全部盛りみたいな外郭を纏います。

 

これがまた実に意味深で、非常に効果的

ではあるんですが、捻りが効き過ぎて

他国民の日本人にはいまいち意味を

掴み損ねたり、異なる心象を感じさせます。

 

こういう手法を使い微妙にボカシてキワキワ

を攻めている様な構成で、旨さは感じますが

ストレートじゃない分着いていけない観客も

多いかと思います。

 

まぁまぁ、アダム・マッケイ此処に在りきでした。

 

それにしても対象者がまだ存命にも関わらず、

此処迄自由に表現出来るアメリカの底力の

凄さには感心しました。日本じゃ無理ですね・・・