異端の鳥 | Sound@Cinema

Sound@Cinema

))) Cinema Sound Works シャチョーの日々 (((
映画の音響技術評価などをプロ目線で、車系もたまにw
http://www.csw.jp/

 

 

この衝撃的なポスターと、禍々しい予告編の

内容から興味津々で観たくなって行ってきました。

 

 

 

 

本作の言語には舞台となる国や場所を特定されないよう、

インタースラーヴィクという人工言語が使われていますが、

一部の俳優は劇中で完全に喋れなかった様で、

アフレコで矯正されていたのはご愛敬。

 

そして内容は全然御愛嬌では御座いません。

 

第二次世界大戦中にホロコーストから逃れ、

疎開していた少年が、滞在先の叔母の死を

きっかけに家ごと火事で焼失してしまい、

家に戻る為に過酷な一人旅へと向かいます。

その道中、まさに人間の業に翻弄され続けます。

 

”退出者続出!”と宣伝で煽ってましたが、そこそこ

ハードな内容には違いはありません。しかし、一線

を越える事は無い映像の中での過酷な表現の範疇

には私には見えました。

 

それでも痛々しいのは確かです。

 

映画の構成はシーケンスに別れており、もっと重々しい

のかと思ってましたが、かなり軽快なカット繋ぎには

肩透かしを食らいました。ポンッポンッとテンポ良く

様々な人と出会って行くのですが、なにせ3時間尺

なので次から次へと妙な奴らが出てきます。

 

大変なテーマを扱っているのは間違い無いんですが、

どうにもこうにも逆に展開が早過ぎて、それが長尺の

中に目一杯詰め込まれている感は否めず、違う意味

でしんどくなってきました。

 

う~~ん、、、最早心の荒んだ汚いおじいさんが

観るものでは無かったかもしれません。

 

ちょっと辛かったです。

 

”退出者続出”現象は確かに目の当たりにはしましたが、

長尺が故のトイレへ途中退出の人が多いようでした(笑)

 

そんな内容でしたが、画と音は美しかったです。

モノクロ作品との触れ込みでしたが、脱色効果の様で

場合によってはギリギリ色を感じさせる所まで、色が

見えるシーンもありました。音の荒漠とした表現は得に

よろしくて、東欧の厳しい自然感を風を中心に丁寧に

練り込んであり、少年の心の声の代弁の様な趣すら

漂う出色の出来栄えで、これには関心しました。

 

マスターミックスはATMOSの様で、出来たらこれを

聞いてみたいと素直に思いました。