リドリー・スコット監督作品。フランスで法的に認められた最後の決闘の顛末を描いた実話に基づくお話。
14世紀のフランス。ノルマンディーの騎士ジャン・ド・カルージュ(マット・デイモン)は、妻のマルグリット(ジョディ・カマー)が強姦されたことを知る。そしてその犯人は、従騎士のジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)である疑いが強まる。カルージュはル・グリを重罪犯として処刑することを望むが、ル・グリは無罪を主張、二人の主張は平行線をたどる。そこでカルージュは、時の国王シャルル6世に決闘での決着を直訴、カルージュとル・グリはどちらかが倒れるまで闘うことになるのだった。
地味で重たい映画だが、とても見応えのある一本だった。1937年生まれのリドリー・スコット監督は83歳になるが、未だ力量衰えずを証明してみせた。
章立ての構成になっており、カルージュ、ル・グリ、マルグリットの順にそれぞれの立場から事実が描かれていく。この繰り返しにはやはりある程度のくどさも感じるのだが、それが最後の決闘シーンへの期待を一層高めることに繋がっているのだ。主演の3人はもちろん、2人が仕えるピエール伯を演じるベン・アフレックもとても良かった。ちなみにアダム・ドライバー演じるル・グリはハンサムなプレイボーイという設定なのだが、「アダム・ドライバーってハンサムかな?」と思ってしまう。日本人好みではないことは確かである。一方、ジョディ・カマーの美しさは際立っていた。こんなに美しい人妻だったらル・グリがちょっかい出したくなるのもわかる気がする。
リドリー・スコットらしく随所に完璧主義が見られる。合戦の臨場感は大したもである。また美術も素晴らしく、小道具へのこだわりがすごい。特に武器や防具類は必見である。画面は全体に明度を抑えたダークな色調で、あたかも自分が14世紀のフランスにタイムスリップしたかのような感覚を覚えた。ちなみに残酷な戦闘シーンやSEXシーンがあるため、PG12指定となっている。
ネタバレになるから結末は伏せるが、壮絶な決闘シーンだったとだけ言っておこう。ちなみにこの決闘でカルージュが敗れた場合、妻のマルグリットも火炙りの刑に処されることになっている。女性からするとひどく不条理なのだが、この時代はそうだったのだから仕方ない。娯楽の少ない時代だから決闘というのはエンタメの一つでもあり、大勢の観客がいる。殺し合いを生で見られるなんて、ある意味すごいショウである。