原作は原田マハの小説。監督は河合勇人。相馬日和(田中圭)は鳥類学者。妻の相馬凛子(中谷美紀)が日本初の女性首相に就任した日から彼の生活も大きく変わるのだった・・日本にも近い将来女性総理大臣が誕生するのは間違いないとは思うので、女性の首相に対しての違和感は無いが、この夫婦の設定が相当に現実離れしているのが笑える。凛子は東大法学部&ハーバード卒。しかも女優のような美貌の持ち主。夫の日和も財閥「ソウマグローバル」の御曹司。自宅は護国寺にあるのだが、都心にもかかわらず鬱蒼と茂った森のある大邸宅で邸内で野鳥の観察も出来る。日和の母の崇子(余貴美子)や兄の多和(片岡愛之助)との関係は何となく「麗しのサブリナ」のララビー一家を思わせる。ま、ファンタジーだと思えばいいのだ。中谷美紀と田中圭のダブル主演であるが、中谷美紀は凛とした美しさが印象的で、なかなか良かった。一方、田中圭はごく普通というか、やや物足りなさを感じた。政治につきものの派閥争いなども扱われており、最大の政敵は原久郎(岸部一徳)との確執が描かれている。さらに凛子の政治ビジョンなどに意外と長い時間が費やされている。結果的にあれもこれもと詰め込み過ぎたきらいがあり、上映時間はやや長く思える。首相就任後は護国寺の大邸宅を出て、総理官邸に住むようになるのだが、官邸の仲は実際にこんな感じなのだろうか?と興味が沸いた。凛子の首相は順調に推移する。選挙でも大勝を納める。が、思わぬ事態が。なんと凛子の妊娠が発覚するのだ。ここからは出産を取るか仕事を取るかみたいな葛藤が描かれる。クライマックスは凛子の進退についての記者会見。そこに乗り込んで来たのは・・鑑賞を終えて外に出たら、ちょうど自民党総裁選の結果が出たところで、次期首相に岸田さんが決まった。なかなかタイムリーな鑑賞タイミングであった。