ファーストラヴ  2021年  日本  119分  ★ | 新作映画の評価 どれを観ようか? ネタバレなし

新作映画の評価 どれを観ようか? ネタバレなし

映画が大好き。都内千代田区在住です。

評価は5段階で
★★★★★ 最高! 面白い! もう1回見たい!
★★★★  オススメ 見ておくべき1本です
★★★   普通かな? 見て損はない
★★    うーん、ちょっと微妙かな?
★     つまらん

北川景子 最新作。監督は堤幸彦。原作は島本理生の小説。

公開初日に鑑賞。別に何の期待もしていなかったのだが、かなり残念な作品であった。

アナウンサー志望の女子大生が有名画家で美大の教授である父を刺殺するという事件が起こる。
臨床心理士の真壁由紀(北川景子)は夫で報道写真家の真壁我聞(窪塚洋介)と二人暮らし。彼女はこの事件に興味を持ち、被疑者である聖山環菜(芳根京子)を取材することになったのだが・・

由紀は、最初に環菜の国選弁護人である庵野迦葉(中村倫也)を訪れるが、彼は由紀の夫の弟で、しかも夫と出会う前に短期間恋人関係にあったという設定。いきなりのご都合主義である。

由紀は環菜と話をするため、彼女が収監されている小菅の東京拘置所に何度も足を運ぶが、話をするたびに、彼女が本当のことを言っているのかどうかわからなくなってくる。環菜は父の命令で、12、3歳の頃まで自宅でのデッサン教室のモデルを務めていた経験があり、どうもそれがトラウマになっているらしい。そして実は由紀自身も父親のことでトラウマがあった・・

ネタバレになるからあまり書かないが、要するに本作で言いたいことは、「ロリコンへの嫌悪」だと解釈した。環菜はデッサンのモデルになっている時、彼女自身は着衣だが、その横に全裸の男性が立っていたとか、デッサンする男子学生の視線に耐えられなかったとかの経験が彼女のトラウマになっているのだ。一方、由紀は由紀で、自分の父親がアジアへの出張の折に少女を買春していたことを知り、そのトラウマがある。幼い女の子を性の対象とするのは法律上も道徳上も許されないのは事実だが、男性の性欲というのはそんな単純かつ薄っぺらなものではないということだけは言っておこう。さすが女性の手になる小説だと感心した次第。とにかく話の骨子がそんな程度だから、作品としても面白いわけがないのだ。

ちなみに、大学時代の由紀と迦葉のシーンがかなり長いのだが、若作りした北川景子には違和感しかなかった。また環菜の母親・昭菜(木村佳乃)はかなりイタい人物なのだが、どうにも漫画チックに見えてしまった。

さて、事件の裁判が近づく中、環菜は殺意を一転して否認。そして初公判の日を迎えるの。というわけで終盤は「法廷モノ」となる。日本映画の法廷モノは多くが褒められたものではないが、本作もその例に漏れない。参考人として、危険を冒しながら出廷してくれた元コンビニ店員の小泉裕二(石田法嗣)の頑張りはあったものの、盛り上がりに欠けるまま結審となる。

サスペンスとしても法廷モノとしてもドラマとしてもその完成度に不満が残った。