ストレイト・ストーリー
(1999年)アメリカの広大な土地を舞台にしたロード・ムービーは数多くあれど、70代の老人が主人公という物語は珍しいかもしれません。
この作品は実話をもとにして作成されたそうです。
70代の男性が、隣の州に住む兄を訪ねる物語なのですが、彼は車でもバスでもなく、時速8キロしかでない中古のトラクターに乗ってその旅をしようとします。
それというのも彼は目が悪くて車を運転することができず、またバスは嫌いで乗りたがらないため。
なんとも頑固なおじいちゃんなのですが、優しい温かみや思いやりもあって、そのキャラクターが見ていて何とも愛おしくなってしまいました^^
映画「ストレイト・ストーリー」のあらすじ(ネタバレあり)
アイオワ州に娘と2人で暮らしている73歳のアルヴィンは、ある日腰を悪くして倒れてしまいます。
病院で検査をしてもらった結果、「もう年なので無理はせずに、節制するように」と言われます。
しかし頑固な性格のアルヴィンは、詳しい検査は断わり、通院もしません。
そんな時に、隣の州に住んでいる兄のライルもまた病気で倒れたらしいとの連絡を受けます。
アルヴィンは兄と昔大ゲンカをしたらしく、10年も音信が途絶えていた様子。
彼は「ライルに会わなくていかん」と固く決意をしますが、車も運転できないし、バスは毛嫌いしている。
アルヴィンが選んだ方法は、うちにあるオンボロのトラクターに乗って行くことでした…
もちろん娘や町の人々は彼のことを心配しますが、アルヴィンは「自分ひとりの力でこの旅を成し遂げたい」と言い、トラクターで旅に出てしまいます。
英語のセリフと名言、感動シーン
アルヴィンは旅行く先で色々な人達に出会うことになります。
ある夜はヒッチハイカーの少女に出会います。
アルヴィンは彼女を焚き火に誘い、2人は話をします。
彼女は妊娠してしまい、そのことを家族に言えずに家出をしてきたと言います。
「私は家族に嫌われているの。妊娠してることを知られたらもっと嫌われるわ。」と彼女は言います。
アルヴィンはそんな彼女に向かってこう言います。アルヴィンのセリフです。
your little problem
君の小さな問題
ここでは妊娠中の赤ちゃんのことを指しているのですね。
「それはどうかしら」と首をかしげる少女に、アルヴィンはさらにこう続けます。
bundle
束
tie the sticks in a bundle 棒をまとめて一つの束にする
「棒を束にして折ってごらん」と言い、
「今度は簡単に折れないだろう?それが家族なんだよ」
このアルヴィンのセリフにはじんと胸に響くものがありました。
少女にも伝わったらしく、その翌朝に彼女の姿は消えていましたが、焚き火の跡には棒の束が残されていた…
このシーンも味わい深く良いですね(*^^*)
さて、さらにアルヴィンは旅を続けていきます。
途中でエンジンが壊れるトラブルがあり、見かねた親切な人が「車で送っていってあげよう」と申し出ます。
でもアルヴィンはこう言って断わります。
I appreciate that. 感謝します
on my own way
私のやり方で
アルヴィンにとって、自分なりの方法で、自分の力だけで兄に会いにいく、ということが重要なのですね。
その気持ちがひしひしと伝わってきます。
アルヴィンは昔は兄と仲がよかったようだけれど、10年前に仲違いをしてしまう事件があって、それ以来会っていないと言います。
彼は昔のことは水に流したい、と思っています。
彼は出会った町の人にこう言います。アルヴィンのセリフです。
make peace
和平を結ぶ、という意味
look up to ~ ~を見上げる
アルヴィンはずっと昔に一緒にしていたように、兄と共に座り、ただ夜空を眺めたいと言います。
最後に彼が苦労の末に兄の家までたどり着き、「ライル」と名前を呼びます…
ライルがまるで弟が来ることを知っていて待ちかねていたかのように、外に出てくる。
余分な会話のない再会シーンに感動してしまいました。
自分でトラクターを運転して、長い旅の末に兄と再会したことで、二人の間にあった確執が解けたのかもしれません。
だから自分の力で来ることが大切だったのですね。