№18
日付:2023/5/13
タイトル:お葬式
監督・脚本:伊丹十三
劇場名:シネプレックス平塚 screen4
パンフレット:あり・中古(\400)
評価:6

 

伊丹監督作品は「タンポポ」しか観ていなくて、12年前にDVDで再見したらすごく面白くて、この時他の作品をスルーしてきた事を改めて後悔した。「午前十時の映画祭13」で未見の2本を上映してくれると知り、楽しみにしていました。

 

俳優夫婦の妻の父が急死してから葬儀を終えるまでの3日間の出来事を描いた本作。伊丹監督の実体験から生まれた作品との事ですが、お葬式という身近で縁遠い通過儀礼をお仕事映画風に追いながら、そこに集う関係者の“あるある”な人間模様と面白みを描いている。

 

監督デビュー作となる本作、まずはスクリーンに映し出された映像がスタンダードサイズなのに驚いた。1984年当時としてはもはや一般的ではない筈。

初監督作品という事もあり、端役に至るまで豪華な布陣なのは、友情出演的な面が大きいのでしょうか。公開から39年を経ての初見は、完成度の高さとやや古びた感に加えて「タンポポ」と比べると初監督作品らしい固さと初々しさも感じつつ、懐かしい俳優さん達のお顔の数々を楽しんだ。山崎努さん演じる侘助と不倫相手との絡みには伊丹さんらしい生々しい艶っぽさが既に発揮されていた。

作品を堪能したかというとさにあらず、ややお勉強モードで観たというのが正直な感想です。

 

監督デビュー作にして、この年のキネマ旬報ベストテン1位。ちなみにこの年にランクインした作品はというと、

2.Wの悲劇

3.瀬戸内少年野球団

4.麻雀放浪記

5.さらば箱舟

6.おはん

7.風の谷のナウシカ

8.伽耶子のために

9.廃市

10.チ・ン・ピ・ラ

となっていた(私が観たのは2、4、7、9)。

 

2022年8月に日経新聞で掲載していた山崎努さんの「私の履歴書」の25話でこの作品に触れていて、伊丹さんの初監督振りを称賛していた。役者さんにとっては本当に楽しい撮影現場だったらしく、パンフレットに掲載された出演者のコメントにも同様の感想が多く寄せられていました。

 

 

 

観賞後にメルカリで購入したパンフレット(伊丹作品5冊セットで\1,500。コンディション良)

・「お葬式」ノート
・ぼくはこの映画を見て、お葬式はやらないと決心した 田中小実昌(作家)
・キャスト/スタッフの一言二言三言
の合間に
・伊丹十三にフマンである 南伸坊(イラストレーター)
・「お葬式」このヒューマン・コメディ 淀川長治(映画評論家)
・葬式は残された者の自我の組み直しの儀式である 岸田秀(和光大学教授・精神分析)
・本日は「お葬式」おめでとうございます 川崎徹(CFディレクター)
・ニックから小津へ 四方田犬彦(東洋大学講師・比較文化)

・映画「お葬式」のための祝歌 白井佳夫(映画評論家)
・スタッフ・キャスト・伊丹十三フィルモグラフィ

映画を観ていて懐かしいホンダの車が目立っていたのですが、パンフに広告も載せていた。