№7
日付:2023/2/24
タイトル:あつい胸さわぎ
監督:まつむらしんご
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン1
パンフレット:あり(\850)
評価:5点

 

「乳(おっぱい)」と「父」を掛けた中野量太監督の「チチを撮りに」という作品がありましたが、本作もいろんな「胸」騒ぎが詰まった作品。

 

母一人子一人で暮らす恋に奥手な女子大生、千夏の身に起きる数々の深刻な出来事を、随分と軽快なタッチで描いている。仲睦まじい親子関係に潜む確執、幼馴染へのトラウマと恋心、憧れの女性の裏切り行為に体の異変と、ひと夏で経験するにはキャパオーバーな出来事の数々。

文学少女千夏が夏休みの課題として文字に起こした心の葛藤は、そんな出来事を踏まえていた筈なのに、どこか合致しない。常盤貴子さんが良き母を演じ過ぎていて、娘の不満要素を十分体現出来ていないからでしょうか。

 

異色とも思える恋と病の組み合わせではありますが、詰め込み過ぎの感も。母の恋心も水森親子のエピソードも不要にすら思えた。私も年頃の娘を持つ身で、大学の健康診断で異常が認められたというエピソードは他人事じゃない。そんな観客からすると、わざわざこの病気を選んでおきながら、母親の千夏への寄り添い方も千夏の前の向き方も、タッチ以前に随分と安易な起承転結に思えてならなかった。

 

評判に釣られて観に行ったものの、どうにも満足度が上がらず。小劇場での舞台の映画化と知って少しばかり合点がいった。消え物の舞台と、記録物の映画。どっちも面白いって実はとても難しいのだ。

 

 

 

 

パンフレット