№5
日付:2023/2/18
タイトル:仕掛人・藤枝梅安
監督:河毛俊作
劇場名:イオンシネマ茅ヶ崎 screen3
パンフレット:あり(\1,500)
評価:5

 

1972年にTBS系列で始まった「必殺仕掛人」は、当時人気だった「木枯し紋次郎」の裏番組で、クラスのみんなが「紋次郎」派の中、我が家は「仕掛人」だったので会話に入れず寂しい思いをした記憶があります。この時代劇版フィルム・ノワールの先駆といった感のある2作品は、振り返ってみると放送時間以外にも、笹沢左保vs.池波正太郎、市川崑vs.深作欣二となかなかに興味深い対決でした。

 

「池波正太郎生誕100年企画」「時代劇専門チャンネル開局25周年記念作品」と銘打って、BSだけでなく地上波民放系列局にローカル局に新聞社その他、錚々たる国内メディア各社がスポンサーに名を連ねた本作を、巷のユーザーレビューの高評価に釣られて観賞。

江戸市中で鍼医者を営む藤枝梅安が請け負ったある仕掛け。梅安と仕掛人仲間である彦次郎の過去と共に、“蔓”(仲介役)と“起り”(依頼人)と黒幕の相関関係が徐々に明らかになる中、梅安の鍼が悪行を断つ。

 

トヨエツさんの梅安、愛之助さんの彦次郎を始めとする豪華役者陣の所作や池波作品に欠かせない食のシーンにそそられる。山田洋次監督が時代劇三部作で確立したリアリズムには及ばないものの、頑張ってる感はある。

ただそれでも色々と物足りない。見せ場である筈の殺しのシーンにはもうちょっとスリリングさが欲しいし、彦次郎が助さん格さんよろしく多勢に無勢の侍に助太刀するのも、暗殺を生業とする仕掛人“らしさ”に欠ける。エンドロール後の続編への繋ぎも粋じゃない。マーベル作品みたいにできなかったものかと思ってしまった。

本格時代劇を標榜しながら、映画というよりも力の入ったTVドラマといった感が拭えないのは、時代劇専門チャンネルを擁する日本映画放送の常務執行役員でもある宮川朋之エグゼクティブ・プロデューサーを始め、監督の河毛俊作も(この人、フジのトレンディドラマ創成期から数々の作品の演出を担当していた)脚本担当の大森寿美男もバリバリのTV畑の人だからか。意気込みはともかく、映画としての見応えを成立させるには少々力不足な気がしました。

 

 

 

 

 

パンフレット

この値段にビックリするも、どうやら続編と合わせて一冊らしい。ただ情報は薄く、読み応えはない