№40

日付:2022/11/26

タイトル:ソウル・オブ・ワイン | L'AME DU VIN
監督・脚本:Marie-Ange Gorbanevsky

劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン1

パンフレット:あり(\800)

評価:4.5

 

ワインの神バッカスに最も愛された土地と言って過言ではない仏ブルゴーニュの地で、葉の落ちた冬の葡萄畑が再び実を結び収穫され、ワインとして結実するまでの1年間を静かに見つめるドキュメンタリー映画。

ベルナール・ノブレ(元ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ醸造長)の詩を諳んじるかのようなワイン論に始まり、ドミニク・ラフォン、クリストフ・ルーミエ、オリヴィエ・バーンスタインといった日本でもお馴染みのヴィニュロン達が登場し、自分達のワインを試飲し論評する。彼らが信頼を寄せる樽職人の仕事振りもじっくりと紹介してくれる。合間に著名なソムリエや醸造学者も意見を述べる。登場する造り手達はほぼほぼビオディナミの実践者ばかりで、そのあたりにはワイン好きでもなんでもないらしい監督の、一つの意図が明確に存在していた。

 

最後に何故だかパリ在住の日本人シェフと日本人ソムリエが登場し、ルーミエ作1945年のレザムルーズを供されて日本語で感想を述べ合うのですが、滅多にお目に掛かれない貴重なワインを前にしたこの2人のリアクションのみ、くだらない感想に終始していて本作の満足度を大いに下げて(▲0.5)もくれた。ちなみに蛇足以外の何物でもないこのシーンが、監督の一番のお気に入りなのだそう。この映画の成り立ちに疑惑の念を禁じえなくなってしまった。


NHKエンタープライズ社ならもうちょっと気を引くドキュメンタリーに仕立て上げたのではと思える、実に淡々とした作品。上映中、大いびきをかくお客がいたし、前方の席に座っている老夫婦のおじいさんの方も、アテが外れたように何度もあくびをしていた。それが大して迷惑にもならない客の入り。

ワイン好きは興味を持って映像と彼らの声に目と耳を傾ける事ができるでしょうが、そうでない観客にとっては退屈極まりない時間になってしまいそう(かく言う私も何度か意識が飛びそうになった)。

ファインズさん(※ワインのインポーター)が協賛だったりもしていますが、万人受けしそうにもないこの作品がよくもまぁ各地のミニシアターで公開されているもんだというのが正直な感想です。

 

 

ベルナール・ノブレ氏(元DRC醸造長)

 

オベール・ド・ヴィレーヌ氏(DRC共同経営者(当時))

 

ドミニク・ラフォンとクリストフ・ルーミエ

 

ジャック・ピュイゼ氏(醸造学者)

 

シャサン社の樽職人

 

パンフレット

チラシ