№38

日付:2022/11/3

タイトル:2046 | 2046

監督・脚本:王家衛

劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン1

パンフレット:5作品合同のリバイバル上映用公式パンフあり(\2,000)

評価:5.5

 

花様年華」に続いてこの日上映された本作。18年前に観た際には、これが「花様年華」の後日譚だとは知らずに観賞(していた筈)。ある意味、今回初めてこの“続編”を観る資格を得た気分。

 

トニー・レオン演じるチャウの豹変ぶりといったら、前作と同一人物とはとても思えない。こちらが前作の空気を引き摺る中、劇中においても過去の女を引き摺りながら今の女を蔑ろにするプレイボーイな振る舞いに、本作への評価がブレる。

彼が心もしくは身体を通わす3人の女性、そしてかつての自分を投影する大家の娘。加えて、周囲の人間をモデルに綴る小説の中の登場人物たち。「花様年華」が1:1の恋模様だったのに対し、本作はたくさんの思いが交錯し合う物語。

前回観た際の主人公は、チャウに想いを焦がすチャン・ツィイーその人であったのが、今回はどうしてもチャウの心情に視線が行ってしまう。感情移入する対象が異なるだけで、作品の評価も変わってしまうような経験は今回が初めてかも。

 

ウォン・カーワイ監督は当時のパンフレットで2046という数字の意味について、「香港が中国に返還されてちょうど50年後にあたるから。1997年に返還されたとき、中国政府は50年間は何も変わらないことを約束した。」と語っていた。人生において50年間も変わらないものなんてあるのだろうかと考えたのが、本作の出発点との事。

変わるものと変わらないもの。本作において監督は、登場人物毎に悲喜交々の結末を用意している。あれから18年。約束を反故にされた今の香港を、監督はどんな思いで見つめているのだろう。

 

 

 

 

当初の設定は、トニー・レオンが未来の郵便配達人、木村拓哉は殺し屋だったのだそうです。

トニー「このテイクはボツになるだろうなと薄々感づいていました(笑)」

木村「“そんなシーン撮ってねぇな”という感じはあったので(笑)」(いずれも当時のパンフより)

さすがは脚本を用意しない監督さん^^;