№35
日付:2022/10/22
タイトル:ディア・ハンター | THE DEER HUNTER
監督:Michael Cimino
劇場名:シネプレックス平塚 screen3
パンフレット:あり・中古(初版\250/リバイバル版\400)
評価:5点

 

本作も機会あればと思い続けていた作品。午前十時の映画祭にて鑑賞。

ペンシルベニア州の自然豊かな製鉄の町からベトナムの戦地へと向かう3人の若者。その中の一人マイケル(ロバート・デ・ニーロ)を中心に、戦争の狂気と傷跡を米国人側の視点で描いた本作。

 

旅立ち前、戦場、帰郷と大きく3つのシーケンスで描かれていて、第一章ではまるで「アメリカン・グラフィティ」のような出立前のバカ騒ぎが描かれる。ただアメ・グラや「ビッグ・ウェンズデー」のような青春感がない中で延々と続く感じ。

 

唐突に始まる“戦場編”は、特殊効果などない時代の戦争映画の臭いを漂わせながら、「地獄の黙示録」なんかよりも胸に迫る。戦争という極限状態がもたらす命の重さと軽さ。ここで登場するロシアン・ルーレットのシーンが当時与えた衝撃の大きさは今観ても十分想像できる。

 

地獄の日々から解放された後に、心と体に傷を負った3人がそれぞれ辿る道。決して元通りの日常は訪れない中で、その代償を背負わされた彼らにチミノ監督と故郷が優しく寄り添う。劇中に流れる「カバティーナ」が胸に沁みます。

 

次作「天国の門」が長尺なのは知っていましたが、本作も3時間超え。ダレる事はありませんが、チミノ監督が作品作りにおいて“引き算”を苦手にしているのが良く判った。

メリル・ストリーブは20代後半でクリストファー・ウォーケンは30代半ば。特に銀幕デビューしたばかりのメリルが若いし演技が初々しい。

第51回アカデミー賞作品賞に監督賞を受賞。この年のノミネートは「帰郷」「結婚しない女」「天国から来たチャンピオン」「ミッドナイト・エクスプレス」と今振り返っても佳作揃いの中でのオスカー獲得。観終わってすぐは今となってはロシアン・ルーレットを世に広めた映画としてしか評価出来ない気もしたのですが、時間が経つ程にしみじみ来る作品だった(今は5.5点くらいかな?)。

 

また今回のデジタル・リマスタリング、字幕は当時のままのようですが、戸田奈津子さんの訳は端折り過ぎて相変わらず意味を把握し辛い。公開当時に比べて上映環境が格段に良くなっているのだから、字幕の情報量ももっと増やすべきだと私は思います。

 

「ディア・ハンター」のディアってDearじゃなくてDeer(鹿)だったんだ。今頃認識(恥ずかし!)。

 

 

 

クリストファー・ウォーケンも助演男優賞を獲得

 

メルカリで購入(送料込み\370)したパンフレットは1988年のリバイバル公開時のものだった。状態はまぁ良好。

同時にヤフオクでも購入したところ(送料込み\398)、こっちは1979年公開時のものでこちらの方が美品。

初版とリバイバル版の違いは、初版のみ裏表紙に東宝のマークが入っている。中身は同じだったが、リバイバル時の定価は1.6倍になっていた。

2作品目の鑑賞につき、こちらも購入