№3
日付:2022/1/29
タイトル:クライ・マッチョ | CRY MACHO
監督:Clint Eastwood
劇場名:シネプレックス平塚 screen3
パンフレット:あり(\880)
評価:6.5点

 

私の父親は福岡の地方局でアナウンサーを務めた後、長崎のTV局の立ち上げ等を経て東京恵比寿にある声優やモデルを育成する専門学校の理事を80歳近くまで勤めていた。自分がこの歳になって、ここからあと20年も働き続けたのかと思うと尊敬の念を禁じ得ない。そして90歳目前にして今も回転寿司屋で16皿を平らげていると聞くともはや呆れるしかない。どうか末永くお元気でいて下さい。

 

そんな父よりも更に年上のクリント・イーストウッド翁は、1930年5月31日生まれの御年91歳。その老いっぷりは作品を追うごとに顕著になってゆくものの、その自覚があるのかないのか、監督・主演を務めた本作ではその歳で相手をブッ飛ばし、荒馬にまたがり(スタントでしょうが)、ロマンスの花を咲かせる。

 

落ちぶれた元ロデオのスーパースターと訳ありな恩人の息子の逃走劇。ロードムービー仕立ての道中で、人間不信に陥っている青二才に対し、カウボーイハットを被ったイーストウッドがその背中で語る人生の歩き方。そしてそれは彼自身の再出発の物語でもある。

 

今回ストーリー的にはかなりユルい展開。年甲斐もなく奮闘するそのお姿に無理も感じつつ、どこかで見たようなお爺ちゃんと孫のハートウォーミングなお話のようでもある。

でもそれもこれも些末な事柄。イーストウッド節の利いた、彼なりの人生賛歌とも言える本作をスクリーンで鑑賞出来ただけでもう十分な気がしました。

 

 

 

 

エンドクレジットでテロップされる献辞"For Alan"は、「硫黄島からの手紙」「アメリカン・スナイパー」でアカデミー賞音響編集賞を受賞し、本作にも携わっているアラン・ロバート・マレー(Alan Robert Murray)に向けたもの。2021年2月24日死去。

 

パンフレット

2つ折りのチラシ