続きを書いていきます。

前回はこちらです。
 

 

百年戦争を終結させ、フランスの立て直しを図ったシャルル7世でしたが、晩年は散々なものでした。王太子ルイ(後のルイ11世)に恨まれ、毒殺を恐れて食事を絶ち餓死してしまいました。今回記事にするのは、今回は、シャルル8世に最も影響を与えたと思われるシャルル8世の父ルイ11世です。

 


異名は「慎重王」「偏在する蜘蛛」「世界の蜘蛛」です。


見るからに性格悪そうな顔つきですね。
あの帽子の下はニット帽になっていてその上から帽子を被るスタイルです。髪の毛はちゃんとありました。

 

出典:Louis XI, le pouvoir fracassé


このルイ11世ですが、英才教育を受けて優秀に育っていきます。
しかし父シャルル7世のことを憎んでいました。アニェス・ソレルが宮廷内で出しゃばっていたからです。

百瀬さんの動画では、何故こんなにも父とアニェス・ソレルを憎むのかわからないと言ってはいますが…

 


ルイの立場になって考えれば憎むことにはなると思います。
ルイの反抗心にシャルル7世が対処する度にさらに憎しみが膨らんでいったのではないかと思うんですね。

 


アニェス・ソレルは王との間に女子を3人産みますので、もし男子を産まれたら廃嫡されてアニェスの子が王位についたらと思うと気が気ではなかったかもしれませんね。基本私生児は継承権は持てないわけですが、アニェスはかなり宮廷内で力を持っていたので、王を惑わし嫡子に昇格させられることを恐れたのでしょう。

それとこの姿を見て何を思うか…。




こんな格好で女性が我が物顔で宮廷内を歩いていたら、どうですか?

いくら宮廷内が男社会だからって、こんなのがまかり通るなんて狂った宮廷です。王も悪趣味すぎる。王はそれでいいかもしれないけれど、他にも家臣や親族の男性たちも普通にいます。理性が飛んでしまうのでは?
そりゃあ男は喜ぶかもしれません。しかしだからと言って、こうすれば愛されるんだ自分の地位が上がるんだとばかりに他の女性たちも片乳出して露出狂になるのはいかがなものか…。

 

つまり、宮廷内がこういうことになっていたというわけです。

 


ルイはこんなの政務どころじゃない!!けしからん!と思ったか。母マリー・ダンジュ―に対する侮辱だと思ったか。マリー・ダンジュ―はアニェス・ソレルを認めていたけれど、果たしてそれは真実かどうか。結局それは建前で実は苦しんでいて隠れて泣いていたかもしれません。

 


ルイ11世が女嫌いになってしまった原因はアニェス・ソレルだけではないと思います。祖母イザボーがとんでもない悪女で国内を引っ掻き回したのは話しましたね。
 

 

ルイ11世が12歳のときまでイザボーは生きていました。

フランス王家は過去を教訓にしているので、イザボーの件があったように「男をダメにするのは女!女が権力を握ればろくなことがない!!!」と思っていたのではないでしょうか。そして強烈なアニェスのインパクトですから…。

実際中国でも、国を傾けた悪女はいて、妲己、末喜、褒姒がいますが、なんせ春秋戦国時代の前なので実際に存在していたかどうかもわかりません。
個人的には魏晋南北朝時代の暗君高緯の妃馮小憐とアニェスがかぶるんですよね…

 

 

美貌を武器に皇帝に寵愛され国を傾けた…。実際に皇帝が美女に現を抜かしそうになると慌てて家臣が過去の事例を持ち出して諫めに入ったものですが、ヨーロッパにはそういう概念はないのでしょうか。西洋と東洋ではそこが明らかに違いますね。
仏教でも女性の権利は認めているけれど、条件付きなんですよね。じゃないと男が性欲をコントロールできなくて暴走するから…ね。
ただこう色気を武器に男を手玉に取る女が量産されるのもヤバいことですよ。
武則天みたいに、優秀であることの条件付きで女性の地位を上げていくことは必要だったのかなとは思いますね。まぁそもそもキリスト教の概念そのものが二元論で男尊女卑だから根本をどうにかしないといけないわけですが。

メンヘラ→変態親父と続く毒親の連鎖…それがどんどん強烈になっていきます。ヴァロワ朝の王族たちは本当に一癖も二癖もある濃い人間ばかり。毒親の連鎖は本当に恐ろしい!

 

 

 

そりゃあルイもグレる。でもそれでもこの捻くれた性格は許されるものではないです。女性軽視はヒステリックなほどですね。毒親の連鎖と親子の確執が最初の王妃マーガレットまで巻き込みました。

 



ルイは父から追放される形で、独立精神が強く王も手を焼く地域、ブルゴーニュ公が治めるフランドル地方へ逃げます。ブルゴーニュは一応は和解していますが何をし出すかわからない地域であり、臣従の誓いも免除されている地域のため力を持っております。再び喧嘩をしてはならないとシャルル7世は思っていたようで干渉しませんでした。
それをいいことにルイはそこで虎視眈々とシャルル7世が亡くなるのを待っていたわけです。シャルル7世の死後、パリに入場してルイ11世として即位しました。時に38歳。歴代の王と比べると遅い即位です。

フランスではルイ11世の映画もあるようです。シャルル8世は出てないですが、オルレアン公ルイ(ルイ12世)、アンヌ・ド・ボージュー、ジャンヌ・ド・フランスが出てきます。アンヌ・ド・ボージュ―見るからに性格きつそう…

 

 

 

 

DVDはおそらく日本語字幕のないフランス語でしょうね…。

 

ルイ11世と王妃シャルロットの仲は悪くなかったようです。表向きはです。女性を軽視したルイ11世ですが、シャルロットについては敢えて距離を置くことで政務の邪魔にならないようにしていたようです。はっきり言ってしまうと政治に口出すなってことですよね。ルイ11世、性格はかなり捻くれていて嫌な人なのですがシャルロットもそれは割り切っていたようです。
そして長女のアンヌ・ド・ボージュ―は父の政治をよく見て頭の中に叩き込みました。

アンヌ・ド・ボージュ―、女性でありながら政治的手腕はかなり優れています。恐ろしいほどに。

 

 

アンヌ・ド・ボージュ―もまたシャルル8世の摂政となるので国王と同じ権力を持ち、強い影響力を持つことになります。毒親の連鎖は続きます。



 

ルイ11世は暴君だとも言われていますが、全てが何もかもダメなのかというと必ずしも言い切れることではありません。文化を奨励したこととか功績もあります。

一番ヤバいケースは暴君でもあり暗君でもあるパターンです。サイコパスも良いところを見れば決断力行動力がすごいと解釈することもできるからです。ただ権謀術数もサイコパス的思考も目的が良いことであればいいのですが、決して悪用してはいけないものです。ルイ11世の政策の目的は残念ながら悪い方向ですが…。

そして子育てに関しては、シャルル8世という人格破綻者を生み出してしまったので失敗です。

次回、具体的にどんな政策をしてきたのかを見ていきます。続きます。

 

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