そんな私とくまちゃんに別れの日がやってきました。
確か小学三年生か四年生のときだったと思います。
学校でお友達ができて、しょっちゅうその子と遊ぶようになってから、くまちゃんと 一緒に眠ることも次第になくなり、
棚の上に飾りっぱなしになっていました。
くまちゃんを嫌いになったわけじゃありません。
はじめて出来た親友という存在に私が浮かれていたのだと思います。
快活なお友達に触発されて 周りのお友達を笑わせたりすることも できるくらいコミュニケーションができるようになってきた日のことでした。
学校から帰宅すると、棚の上のくまちゃんがいなくなっていました。
あれ?くまちゃんいない?
家の中をキョロキョロしながら探した私は、ベランダにくまちゃんがいるのを発見しました。
薄い水色のゴミ袋ごしに くまちゃんと目が合った私は、全身の血が逆流するような感覚になり、気づいたら母に怒鳴りちらしていました。
『どうして勝手にくまちゃん捨てたのよ!勝手なことしないでよ!』
翌日出すゴミ袋をベランダに置いて準備しておく癖の母に 私の大事なくまちゃんをゴミと一緒にしたことを許せなくて もう怒りで声が震えていました。
『片付けなかったら捨てるって言ったでしょ!』
くまちゃんと一緒にビニール袋に入っている雑貨のことを言ってるらしき母に私は泣きながら わめき散らし つかみかかりました。
暴れて感情のゲージが振り切られた私は
そこからぱったり記憶がないので
この事件はかなり壮絶だったし 母は覚えているはず!
と話題にだしてみると雑貨を勝手に捨てたことは、うっすら覚えていても やはりくまちゃんのことは記憶にない。との解答でした。
なんで?100歩譲って くまちゃんのビジュアル忘れていても あの日の事件は忘れないはずなのに。
母にとって『くまちゃん』は見えてない存在だったと確信したエピソードでした。
④に続く