以前ご紹介した百合ヶ丘のCaffee & Beer 轍(WADACHI)が5月で開店5周年を迎えました。
5周年を記念して、今月から店内には、この店のマスター所有の赤いチネリ・スーパーコルサが飾られています。
でも、今日の主役はこの車ではありません。
見えますか? 自転車の下にある、もう一台の赤いチネリ・スーパーコルサが。
ぐーっと近寄ってみると....
ありました!もう一台のチネリ・スーパーコルサです。
これは、ミニチュア自転車作家の山本雅之氏が、壁に飾られたマスターの車をもとに作った1/12スケールの精巧なミニチュアで、全長15cmほどの大きさです。
これまでも、自転車のミニチュアやプラモデルは見たことがありますが、この作品は、それらとはまったく次元の違う驚異的な精密さです!
全体のスケルトンや質感だけでなくディテールの再現性がすごくて、例えばブレーキや変速のケーブルは、細く撚ったワイヤーがちゃんとアウターの中を通っています。ブレーキやディレイラーが動くのはもちろんのこと、ブレーキアーチのクイックレバーまで動きます。チェンは1駒ずつ本物と同じように作られたものを繋ぎ合わせてあり、スポークも一本ずつ張ってあって、ニップルで留まっています。
これ一台を作るのに1年以上かかったということですが、それも納得です。
驚くのは、出来た作品だけではありません。
その作り方は、できる限り本物の自転車の作り方を忠実に再現しているとのことで、本格的な治具を使って、フレームをロー付けして作っています。
リムは軽合金製です。このような治具で組み立てています。
すべてのパーツが、山本氏の手のよって一から手作りされたオリジナルパーツです。
例えばラグは、チネリタイプとデローザタイプでヒゲの形が異なっているというというように、細部へのこだわりが半端ではありません。
これはフレームに貼るデカールです。
隣のサドルと比べると、そのサイズがわかりますね。
店内には、山本氏がこれまで作った別の作品も展示されています。そちらも見てみることにしましょう。
この展示のために、店内にはレトロな木製のショーケースが置かれ、ガラスケースの中にヴィンテージパーツやレトロカメラなどがたくさん詰まっています。
主役のミニチュア自転車たちが飾れているのは、このショーケースの上です。
レーサーから実用車まで、フレームも合わせて6台の作品が展示されています。それでは1台ずつ見てみましょう。
こちらは、シルバーのチネリ・スーパーコルサ。
こちらはチネリのツーリングタイプです。
VWビートルの屋根の上には、さらにサイズの小さい1/24スケールのチネリ・ピストレーサーが乗っています。
こちらはチェコ人のオーナーさんの依頼で作ったというチネリのフレームです。ラグワークが美しいですね。
こちらは昭和の実用車。
この再現性も半端ありません。
こちらはヨーロッパの女性用自転車です。
ちょっと使い込んだレトロ感が見事に表現されています。
こちらが作者の山本雅之氏。
ご本人も言っていましたが、この細かくて地道な作業を続ける集中力には感服しました。
山本氏の作品は5月19日(日)まで、轍(WADACHI)の店内に展示されています。
この超精密なミニチュアは、ただただ驚き以外の何者でもありません。チネリマニアのみならず、多くの方に見ていただきたい素晴らしい作品です。この機会にぜひご覧ください。
轍(WADACHI)は、百合ヶ丘駅の改札から駅前ロータリーに出て、右手にあるセブンイレブンの横の細い路地を入った奥にあります。