【1983年】サンプレックスの広告 | CICLI LA BELLEZZAのブログ

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先日、1983年に発売されたカンパ50周年モデルの広告をご紹介しましたが、同じ年のミロワール・デュ・シクリスム誌にサンプレックスの広告が載っていたので、ご紹介したいと思います。

 

『プジョー・サンプレックス、勝利の30年』という見出しがついているように、プジョーチームとサンプレのパートナーシップをアピールする広告で、プジョーの新鋭フィル・アンダーソンの写真が載っています。彼が担いでいるプジョーの自転車にもサンプレのスーパーL.J.(S.L.J.)が付いていて、よく見るとプーリーケージがドリルで肉抜きされていますね。

 

さて、30年ということは、プジョーは1953年からサンプレックスを使っているということになります。定かではありませんが、それ以前はユーレーだったのかもしれません。53年当時のサンプレのディレイラーは、スライドシャフト式のツール・ド・フランスというモデルでした。その後、デルリン製のクリテリウムの時代を経て、70年代からは軽合金製のスーパーL.J.がフラッグシップモデルとしてプロチームに供給されました。

 

この広告に載っているディレイラーは、S.L.J.5500というモデルで、ピボットボルトのキャップが黒になっています。サンプレ独自のダブルテンション機構の優位性をアピールしていますが、興味深いのは、キャパシティーが異なる CP、T、GTという3つのバージョンがラインナップされている点です。

それぞれのキャパシティーは、CPが26T、Tが30T、GTは36Tとなっていて、GTはロングケージのモデル、CPとTはどちらもショートケージですが、ピボットボルトとの接合部がケージの中央にあるのがCP、やや上部にあるのがTとなっています。

CPとTの違いについては、以前、クリテリウムについても同じような違いがあることをご紹介しました。クリテリウムの場合は、時代によってCPからTに移行したようですが、スーパー L.J.では、二つのバージョンが並列で存在していて、選べるようになっています。

 

プジョーチームはフランス国粋主義が強く、当時、ほぼすべてのプロチームがイタリアのカンパニョーロを使っていた中で、頑なに、サンプレ、ストロングライト、マファックといったフランス製パーツで戦いを挑み続け、ツールでの優勝など、レースシーンの第一線で華々しい戦績を挙げました。『プジョーとサンプレックスの30年』は、奇しくも『カンパニョーロとフランスパーツの戦いの30年』と重なっています。