相談室で、職場や、子育ての悩みをお聞きしていると、この考え方や技術を知っていれば、ずいぶん楽になるだろうと思うものがあります。
それが、「アサーション」です。
アサーションとは、「お互いを大切にしながら、率直で、誠実で、素直なコミュニケーションを交わすこと」です。
今回は、このアサーションの紹介をしてみます。
相手ばかりがいろいろ主張して、自分はずっと我慢、ということはありませんか。
我慢しているうちに、最初は「いやだな」と思う程度だったのが、だんだん「いらいら」してきて、しまいには「いいかげんにして!」「うるさい!」と思うようになる。キレたりすることもある・・・。
そうなる前に、「同意できない」「好きではない」ということを、早めに表現することができたら、よけいな怒りをため込まずにすみます。
自己表現の仕方をみてみると、3種類のパターンがあることがわかります。一つは、不十分な自己表現、第二は過剰な自己表現、そして第三はアサーションと呼ばれる適切な自己表現です。
① 不十分な自己表現―非主張的な自己表現
考えていることや気持ちを表現できないというパターンです。
「言いたいのに言えない」「黙ってしまう」「断りたいのに断れない」「伝えても通じるように言っていない」など。
例えば、長電話になって「そろそろ切りたい」と思っても切り出せない。
また、列に並んでいて横から割り込まれそうになった時「次は自分の番なのに」と思いながら黙っていて、順番を譲ってしまうということなどです。
こんな時、私たちは腹が立ったり、いらいらしたり、落ち込んだりします。
② 過剰な自己表現―攻撃的な自己表現
自分の考えや気持ちをはっきり言い、自己主張をするのですが、相手の言い分や気持ちを無視したり軽んじたりして、結果的として自分の言い分だけを通して相手に押し付けてしまったり、相手に有無を言わせなかったりすることを言います。
例えば、列に並んでいて割り込まれたと思った時、いきなり「あんた後ろに並びなさいよ!」と言ったり怒鳴ったりすることです。
③ 適切な自己表現―アサーティブな自己表現・アサーション
自分も相手も大切にしようとする自己表現で、自分の意見、考え、気持ちを正直に、率直に、その場にふさわしい方法で言ってみようとすることです。同時に、相手が同じように表現することを待つ態度をともないます。
例えば列に割り込まれた時「ここは並んでいるので、後ろに並んで下さいますか」と率直に言ってみる。そうすれば、相手は急いでいて、うっかり一言断るのを忘れていたとか、並んでいることに気づかなかったということがわかることもあります。
率直に気持ちを表現すれば、相手に通じる可能性が広がり、お互いにわかりあえるチャンスができます。でも、「率直に気持ちを表現」と言っても、実際には、どんなふうにしたらいいのかわからない・・・。大丈夫。そんな時にはアサーションの「DESC」法が役に立ちます。
D(describe):主観を交えず、自身の状況や相手の行動を客観的に伝える
E(explanation):自分の意見や感情を表現し伝える
S(suggest):相手が望む行動、妥協案、打開策を提案する
C(choose):提案の実行/不実行結果を想像し、結果に対する選択肢を示す
次回はこのDESC法についてご紹介します。
参考文献 平木典子「自己カウンセリングとアサーションのすすめ」金子書房 2000
