今回は、このような方に、あるいは支援をする方々に、ぜひ読んでいただきたいと思った書籍の紹介をします。

 

「急に昔のことを思い出す、嫌な気持ちが止まらなくなる、お腹が痛くなる、指先が冷たくなる・・・。」皆さんのなかに、そういった体験はありませんか?

米国トラウマ専門心理療法士の服部信子さんによると、「それはフラッシュバックかも・・・」しれません。この本には、著者の経験と知識をもとに、ケアの極意、「今すぐ使える」「わかりやすい」「使いやすい」心の守りかたが書かれています。

 

私たちは、フラッシュバックというと、震災や事故、性被害、虐待などの大きな出来事を思い浮かべ、「私には関係ない」と思ってしまいがちですが、小さな出来事であっても、フラッシュバックは起こり得ます。

フラッシュバックを具体的に定義すると「昔体験したトラウマの記憶が思い出され、まるで今、起きているかのように感じていること」です。

 

トラウマは皆さんが思うより身近なものです。

服部氏によると、“トラウマというと皆さんは、重要な事故や事件を想像するかもしれませんが、トラウマは皆さんが思うより身近なものです。トラウマとは、意外なことに出来事の内容でも、大小でもないのです。その代わりに、「神経のレベルで圧倒されたかどうか」によって決まります。

トラウマとは命に関わるような身体的な出来事の他、身の危険はないけれども心理的にショックな「小トラウマ」を含めることがあるのです。“

 

「小トラウマ」の例としては、

“逃げ場のない状況で大勢の前で恥をかく、信頼していた人に裏切られる、突然に解雇を言い渡される、ハラスメントを受ける、怒鳴られる、病気を宣告される、命にはかかわらないが医療中の事故にあう・・・”

”小さな子どもにとっては、大した影響は残らないだろうと周りの大人が思う出来事でも、小トラウマになり得ます。例えば、親と離れての入院や、数匹の蜂に追いかけられた末に刺されてしまった”などです。”

 

繰り返しの引用になりますが、

“重要なのは出来事の内容ではなく、本人にとって「自分ではどうにもできない」という「神経レベルでの圧倒体験」なのです。”

 

本書の構成は次のようになっています。

目次

はじめに

Chapter0 本書はこう使うと、とても効果的です

Chapter1 フラッシュバックが起こったら意識したいこと

Chapter2 フラッシュバックを具体的に対処する方法

Chapter3 フラッシュバックの基本を知っておこう

Chapter4 フラッシュバックと脳の働きの関係

Chapter5 フラッシュバックの「きっかけ」になること

Chapter6 トラウマと 向き合うにはどうしたらいい?

Chapter7 フラッシュバックを予防するときに 大事なこと

おわりに

 

“フラッシュバックを終わらせるには、「今」に意識を向け、安全に気づくことが基本です。”

“なぜ、この「今」に意識を向けることが重要かというと、フラッシュバックとは、脳が危険な状況だった「昔の記憶」を思い出させて、あたかも「今の現実」に起こっていることのように感じさせている状態です。それを終わらせるには「今に意識を向ける」スキルと「リラックスする」スキルの両輪を身につけることが大切なのです。”

 

Chapter2では、具体的な対処法がいろいろと紹介されています。「今すぐ使える」「わかりやすい」「使いやすい」方法ばかりです。是非参考にされてみてください。

 

“大切な心構えの3つ。1.「ちょっとマシ」を目指す。2.お気に入りの対処法をみつける。3.何よりも練習。”

 

”対処法には「体」を使う方法と「言葉」を使う方法の2種類がある。”

”「体」を使う方法は、環境や状況に意識を向けることで「今、ここ」を感じます。視覚、聴覚、触覚などの五感を使ったり、呼吸を変えたり、体を動かしたりします。”

”「言葉」を使う方法”は、 ”フラッシュバックは脳が「過去の危険」を「今の危険」だと間違えている状態です。その状態を変えるために、言葉や記憶を使って「今の安全」を脳にインプットしていきましょう。”

 

以上、「今すぐできる心の守りかた―フラッシュバック・ケア」を、著者の文章を引用しながら紹介してみました。参考になれば幸いです。

 

※服部 信子「今すぐできる心の守りかた―フラッシュバック・ケア」KADOKAWA 2024