頑張っても、頑張っても、成果が出ず、めげそうになることがありますよね。
そんなとき、知っておくと力になる概念が「ネガティブ・ケイパビリティ」です。
今回は、この言葉を紹介します。
きっと、あなたを支える底力となる、と思います。
「ネガティブ・ケイパビリティ ―答えの出ない事態に耐える力」(*)
私は、この言葉を、臨床40年の精神科医であり、多くの受賞歴を持つ小説家でもある帚木蓬生氏の著述から知りました。
「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」
あるいは「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」 を意味します。
例えば、子どもが不登校になったお母さん。合わない上司のいる職場。認知症の姑のお世話をしている主婦…。
なんとかしようと長年にわたりいろいろとやってみたけれど、いっこうに変わる気配がない。
精も魂も尽き果てそう…。いったい自分は何をやっているのだろう。虚しい…。
そんなとき、「ネガティブ・ケイパビリティ」という力があることを知っていただきたいのです。
あなたが今、じっと耐えていること自体がすごいことです。あなたのすごい力です。
変わらないように見えて、季節は変わっていきます。周りの状況も変わっていきます。すると、ある時、事態が一変することがあります。
私はこういうとき、中学校の時の化学の実験を思い出します。
アルコールランプで水をあたためると、水蒸気になる。
温度を測ってその変化を記録していると、
100℃までの間は順調に熱を加えると温度も上がっていたのに、
そこからはずっと、温めても、温めても、温度が上がらない状態がしばらく続く。
それが今。
途中でめげてやめたりせずに、ずっーと熱を加え続けていると、パーッと
水が水蒸気に変わり、温度も再び上がっていく。
先ほど紹介した本の中に、帚木蓬生氏のもとに、スクールカウンセラーをしている
臨床心理士から届いた手紙が紹介されていました。
“解決すること、答えを出すこと、それだけが能力ではない。解決しなくても、
訳が分からなくても、持ちこたえていく。
消極的(ネガティブ)に見えても、実際には、この人生態度には大きなパワーが
秘められています。
どうにもならないように見える問題も、持ちこたえていくうちに、
落ち着くところに落ち着き、解決していく。
人間には底知れぬ「知恵」が備わっていますから、持ちこたえていれば、いつか
そんな日が来ます。
「すぐには解決できなくても、何とか持ちこたえていける。
それは、実は底力の一つなんだよ」
ということを、子どもにも教えてやる必要があるのではないかと思います。“
今回は「ネガティブ・ケイパビリティ ―答えの出ない事態に耐える力」を紹介しました。ご参考になれば幸いです。
(*)帚木蓬生 「ネガティブ・ケイパビリティ ―答えの出ない事態に耐える力」
朝日新聞出版 2017
