昨夜、一年続いていた言語交換パートナーをブロックした。
突然、アソコを見せられたからである。
オンラインで知り合った男性と、ビデオコールしている最中に、下半身を見せられることって、結構よくあることだと思う。
会話していて、唐突に。
オフの日常生活で、会話している男性が突然アソコを見せてくることなど(通学路に出没する露出狂のオッサン以外)殆どないから、オンライン特有のリスクといえる。
大抵それは、知り合って1ヶ月以内に起き、早い人は初回のビデオコール中に出してくるから
そもそも最初からオンラインでそういうことをする相手を探しているのだな、私は言語交換が目的なのにミスマッチでごめんなさいね、と思って、即電話を切ってブロックするのには慣れっこなのであるが。
一年以上、言語交換をしてきた24歳のトルコ人のÖmerが昨日、ビデオコール中に、パンツを脱いだ。
私はさすがに、少々ショックを受けた。
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Ömerは言語交換サイトで知り合った頃、日本人の彼女がいた。
彼女は26歳の看護師で、日本に住んでいて全く英語を話すことが出来ないが
彼らは、某海外交流アプリで知り合った。
そのアプリは会話を全て母国語ですることができ、無料なのにその都度翻訳してくれるらしい。
彼らはそれ以外にも、翻訳機能付きのチャットアプリを使って、共通言語がないのに恋人同士になっていた。
Ömerは英語をそこそこ話せるが、彼女が英語を学ぶよりも自分が日本語を話せるようになる方が早いと判断して、彼女との共通言語を得るため、言語交換アプリにいた。
私はその言語交換アプリで彼からメッセージをもらって知り合い、彼の日本語学習を手伝いながら、時々ふたりの恋愛の相談も受けていた。
Ömer、彼女、私、の3人でグループチャットをしたこともある。
Ömerがその彼女にフラれたのは、今年になってからのこと。
先月、久しぶりにÖmerからテキストがきて彼女からフラれた話を聞き、少しビデオコールした。
その時は、彼はパンツは脱がなかった。
昨夜、ビデオコールしたいと言ってきたÖmerは、今からジムに行くところだと言っていた。
「シックスパックはまだないけど」と言いながら、とTシャツを脱ぎ、上半身を見せてきた。
そのまま
「すごく恥ずかしいけど、見て欲しい」と言いながら、ベッドに横たわりパンツも脱ぎはじめたところで
私は、彼が何をしようとしているか気づき
「ストーーーップ!!NO!!」と叫んだ。
「見て欲しい」と再び言ったので
「I say NO!!! NO!!! NO!!!」ともう一度はっきり言った。
画面にアップで、それの先端が現れたところで、通話終了ボタンを押して、すぐにWhatsappをブロックした。
もうひとつ繋がっていたInstagramもすぐにブロックした。
それから、何が悪かったのか
私に何か隙があったのか
テキストを読み返したり、会話を冷静にひとつひとつ思い返したりしてみた。
Ömerと話す時は、彼はムスリムなので、私はどんな服を着ていても、ショールを肩にかけて、首元、胸元、二の腕を隠してビデオコールしていた。
恋人のアールは、私が言語交換パートナーをことごとく下半身露出や男女関係への誘いをきっかけに失っていることを知っていて、Ömerひとりだけが唯一残っていることも話していた。
彼らの可愛らしい恋の相談を、アールに話して、アドバイスをしてもらったこともある。
アールに、Ömerまでもアソコを出してきて、すぐにブロックしたことを話した。
言語交換パートナーがひとりもいなくなったことを。
そして私は、言語交換サイトも言語交換アプリも既に退会していて、二度と使用する気はないことを、話した。
男性は、こういう経験ないよね?同意なく突然、性器を画面いっぱいに見せられることってないよね?と言った。
八つ当たりみたいなもんである。
カレは「残念だったね。大丈夫?」とずっと心配してくれた。
私は、ショックなのか、腹が立つのか、よくわからなくなっていた。
3人を生んだ経産婦のはしくれとして、若い男の下半身くらい、ハッキリ言ってみてもどうとも思わない。
キャーなどという黄色い声も、出そうとしたって、出ない。
なんなら、もう少しじっくり観察してから電話を切っても良かったな、くらいの余裕はある。
しかし、なんだろう。
この、長期間、親切にしてきた人に、軽く見られた屈辱というか。
誰か外国人と話す時に「ニホンジン代表」などという気持ちでいることはあまりないのだけど。
「私」個人が軽く見られただけなのに
私は、なぜか「日本人女性」全体が軽く見られた気がして、個人的なものを超えた腹立ちを抱えていた。
ナショナリズムが急に顔をだしてきて、私の怒りの根源にそれがあることに、そこで初めて気づいて、そんな自分に、正直少し引いた。
Ömerはトルコ人男性代表ではなく、ただの、ヤリタイ盛りの24歳である。
私は日本人女性代表などではなく、ただの、ヤリタイ盛りの若者にアソコを見せられた47歳会社員である。
自分の中には決してないと思っていた妙なナショナリズムを自覚してしまった夜であった。
下半身を出さない言語交換パートナー、口説いてこない言語交換パートナーを作るのが、こんなに難しいことだったとは。
ちなみに、アールは口説いてきたし、下半身を出したが、私が惚れているのだし、同意の上なのだから、よいのである。
アールが下半身を出した時も、それ相応の段階を経て、ゆっくり関係を築きながらのことである。
リアルのセックスでも、オンライン上でも、『同意』は、大切なのである。