「オンナは愛されてナンボだよ。」
親友Sはいつもそう言う。
私は、愛してくれる人よりも、自分が愛する人を選びたい、そう思っている。
自分の愛する人が、私を愛してくれたら、最高だろうと思う。
私の気持ちと、相手の気持ちが、同じくらいの熱量か
または、相手の気持ちが少し上回るくらいが、最も幸せなのではないかと思うが、
そんなにうまくはいかないのが人生というものだ。
トルコのFは、以前毎日ビデオコールしていた頃
「自分が愛しているかどうかが、自分にとって最も重要だ。」
そう言った。
「自分はなかなか人を愛することができない。
知り合って、会話をしているうちに、誰かを愛するようになることは俺にとって奇跡だ。
愛されているかどうかよりも、自分が愛せるかどうか。
もちろんその人に愛されたいとは思う。
しかし、それよりも重要なことは、自分がその人を愛していること。
それが、俺にとって最も大切なことだ。」
そう話してくれた。
私とFは、似ているところがあると思う。
なかなか他人を愛することができなかった私は、Fのこういう気持ちがよくわかる。
Fが私を思う気持ちはそのまま、私がアールを想う気持ちに通じるものがある。
私にとって、Fは時々、鏡のような存在だった。
そして、私が誰か他の人の素敵な恋人と比べたり、
アールは私を愛しているのだろうか?とカレの気持ちを疑ってしまって、気持ちが不安定になってブレるたびに
「私がカレを愛しているのだから、それでいい」
と、自分の位置に戻ってくるのだ。
そのことを、いつも思い出して気持ちを立て直すことができるのは、
Fが話してくれた言葉、
Fと会話したあの日々のお陰でもある。