サスペンスではありませんがやっぱりかなりダークなホラーを…漢江沿いのオクス(玉水)駅を舞台に重苦しい因縁から起こる日韓合作怨霊話…「オクス駅お化け」

 

終電間際、深夜のオクス(玉水)駅。黒い服の酔っ払っているように見える女がホームを踊るようにフラフラ動き回っている。若い男は彼女の様子を撮りネットで話題にする。男がふと目を離すと女がいない。近寄るとホームドアが勝手に開き、線路に何かが見える。男は跪きホームを覗き込むが、その時、突然ホームドアが締まり男の頸を刎ね飛ばす…仲裁裁判所の一室。ネットニュース”Dailyモドゥ(모두:皆)”の記者ナヨンが責められている。オクス駅で有名タレントの酔っ払った姿を撮りネットの記事として掲載したからだ。相手側は、無断撮影だ、と戦う姿勢だ。仲裁委員も常習犯のナヨンには厳しい。社に戻ると女社長モ・ドゥヨンがこの件の和解金5000万₩に激怒している。ナヨンには、直接謝罪し訴えを取り下げさせるか、自分で支払え、と冷たい。ナヨンはこの件の情報提供者で友人のウウォンに文句を言いに行くが、彼も詳しくは知らない。その代わりと言って、夕べ起きたオクス駅の今は使われていない地下廃ホーム(後述)での人身事故を記事にしたらどうか、と言う。兵役のための社会服務要員としてオクス駅で働くウウォンから見て、不思議な事故だそうだ。こうしてナヨンは奇怪な事件の渦中に飛び込むことになる…

 

美貌のネット記者ナヨンに、2006年「ホロヴィッツのために(邦題:私のちいさなピアニスト)」9歳から映画に出る美少女子役もアラサー美女キム・ボラ、その友人でオクス駅で働くウウォンに、ボーイズグループ<N.Flying>ドラマーで日本では『君と世界が終わる日に』シーズン3まで出演して記憶される方も多いでしょう二枚目キム・ジェヒョン、被害者の妹テヒに、日本でいうと伊藤沙莉みたいな存在感で大ファンのシン・ソユル、最初の被害者を弔うヨムスプサ(殮襲士:日本でいう納棺師)に、悪徳刑事かヤクザの印象が強いキム・ガンイル、ナヨンの冷酷な上司モ・ドゥヨン代表に、80年代から活躍するど迫力おばさんキム・スジン。

 

日本では10月公開予定で、公式ホームページのキャッチでは、「高橋洋(「リング」)×イ・ソヨン(「アパートメント」)×白石晃士(「貞子vs伽耶子」)による脚本、日韓合作の<都市伝説ハイブリッドホラー>」とあり、確かに和製ホラーの匂いはそれなりに強いかもしれません。原作は大人気ホ・ランのウェブ・トゥーン(漫画)ですし、監督は「人形霊」「家門シリーズ2,3」などの仕事人チョン・ヨンギで、その意味ではきちんと構成されたホラーと呼べるでしょう。次々と現れる4桁の番号、古い井戸の幻影、爪によるひっかき傷、など怖がらせる仕掛けも良く練られており、暑い夏にはちょうど良いかもしれません。ただ個人的には、怨霊による怖がらせ方が和製ホラーっぽい(殆ど観ないので勘ですが…)感じがするのと、怨霊の元ネタになった事件が日本での余りにも陰惨なものである(高橋洋氏コメントから)ことから、ちょっと肌に合わない感じは強いというところです。

 

ヒロイン、キム・ボラが魅力的なこと、ビシっと締めるエンディング、など好印象のホラーであることに異論はないので、ホラー好きなら試してみる価値はあるかもしれません。

 

尚、地下の廃ホームについてですが、オクス駅は地下鉄3号線の漢江沿いの駅で江南アックジョン(狎鴎亭)に渡るトンホ(東湖)大橋につながる開業当初からの地上駅と思われ、結構調べましたが地下駅だった記録が見つかりません。KORAL京元線の駅でもありますが、こちらも地下だったことはなさそうです。当方の語学力のせいだとは思いますが、何か経緯をご存じなら教えていただけると助かります。観終わった後の最大のミステリーなので…

 

ついでに、上に書いたプロローグのホームドア・ギロチン事件が本編とどうつながるか、についても良く分からなかったりします。結構引っかかってたりします…